【店舗物件の定期建物賃貸借家契約の注意点】①
貸店舗・店舗物件に出会う為の店舗開発支援の一環として、店舗物件を専門に扱う不動産業者からの視点で店舗開発アドバイスを少しずつ記事にしていきたいと思います。
今回は契約形態についてすこしお話させていただきます。不動産の賃貸借契約には大きく分けて2つの契約形態があります。普通賃貸借契約と定期借家契約です。
普通賃借契約はお馴染みの一般的な契約で、大きな特徴は更新が可能で、貸主からは正当事由がなければ更新を拒絶できない点です。
「定期建物賃貸借家契約」の特徴と注意点
店舗などの事業用の物件で採用されることが多くなっている定期借家契約ですが、いろいろと普通賃貸借との違いはありますが、特に注意点すべき点は下記の2点です。
- 注意点①更新について
- 注意点②中途解約
更新について
貸主と再契約を締結しない場合は基本的には期間満了により退去しなければなりません。
店舗を開業するにあたり、内装投資などで多額の費用を投じる場合は、基本的に契約期間内での収支計算・事業計画をする必要があります。
また、再契約をすることができた場合でも、経済条件については従前の条件と同一である必要はありません。最近、再契約に言及するタイプの契約書をたまに見かけますが、定期借家契約の概念として再契約を担保したり約束する内容の条文は条文の内容によっては、定期借家契約が無効になる可能性がありますので、より注意が注意が必要です。
中途解約
特約がない限り、中途解約は事業用の物件については不可です。つまり基本的な考え方として、5年間の定期借家契約を締結した場合は、60か月分の賃料の支払い義務が生じる可能性があるということです。但し、これは勘違いされがちですが、普通賃貸借契約についても同様に特約もしくは定めの無い場合は期間内の解約はできません。
中途解約については双方に解約権をもたせる場合、違約金を定める場合など様々ですので、良く理解して契約する必要があります。定借でも一般的な普通賃貸借でよく採用されている6カ月前の退去予告で解約できる契約も多くなってきています。
ある一定の期間までは敷金相当額を違約金として定めるケースも定借ではよくあります。例えば
賃貸借期間開始日から3年未満の場合 敷金の100%相当額の違約金
賃貸借期間開始日から3年以上5年未満の場合 敷金の 50%相当額の違約金
の様に経過期間によって違約金を変動させるケースもあります。
これから始める業態でどのくらいの初期投資(内装工事)が必要なのか、どのくらいの期間で回収できる計画なのか??そのあたりのバランスを加味して契約期間などは調整する必要があります。
契約の特徴と、注意点をしっかり理解して、気に入った店舗物件で定期借家契約を求められてうまく付き合うことができれば出店の余地も広がると思います。契約の内容をよく理し、必要な事業リスクをとること店舗を出店するにあたり重要なポイントとなります。