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今回は飲食開業に必要な資格と届け出についてご紹介致します。
食店開業に必要な2つの資格と10種類の届出
飲食店を開店する場合はその店舗の大小に関わらず必要な資格と届出があります。
取得が難しいような資格ではなく、多少の手数料と手続きさえしっかり行えばすぐに開業できます。
今回は、これから開業しようと思っている方が必要な2つの資格と10種類の届出をわかりやすく解説していきます。
飲食店の開業時に必要不可欠な資格は2つ
・食品衛生責任者
飲食店を開業するためには、絶対に必要な資格です。この資格を有する者を店舗に
1人必ず置かなければいけません。
この資格は、1日講習を受けることで誰でもすぐに取得できます。
オーナーや店長がならなければいけないという決まりはないので、従業員の中から選出してもOKです。
また、調理師免許や栄養士のような資格を持っている人は講習を受けなくてもこの資格を取得することができます。
資格取得にかかる費用は10,000円程度で、講習は食品衛生協会で実施しています。
開業までに必要な資格ですので、直前まで後回しにせずになるべく早い段階で取得しておきましょう。
防火管理者
店舗の収容人数が30名以上の店舗の場合、防火管理者の資格を持った人が1人必要です。こちらも従業員の中で誰か1人に資格を取らせれば問題ありません。
30名以下の小さなお店の場合は不要です。
この資格は2種類あり、店舗の平米によって防火管理の資格の種類が変わります。
300平米以上の場合は甲種防火管理者、300平米未満の場合は乙種防火管理者の資格が必要です。
ただし、甲種防火管理者の資格を持っていれば、乙種は不要です。甲種は2日の講習で取得可能、乙種は1日の講習で取得が可能です。
金額はそれぞれ甲種が6,500円程度、乙種が5,500円程度。
日本防火・防災協会で講習が行われています。
※調理師免許が無くても開業はできます
調理師免許について、
開業にあたって資格が必要なんじゃないか?調理師免許が必要だと思っている方も多いのではないでしょうか。
確かに調理師免許は簡単に取得できるものではありませんし、飲食店は調理師がいないと経営できないと思っても不思議ではありません。
しかしこれは大きな勘違いで、飲食店を経営するために調理師免許は必要不可欠な資格ではありません。
調理師免許は、どちらかというと調理師として料亭や一流レストランなどで働くために必要なので、開業するために取得しなければいけないような資格ではありませんので安心してください。
ただ、調理師免許をもっていると、食品衛生責任者の資格をわざわざ取得する必要はありませんので、持っているに越したことはありませんね。
飲食店の開業時に必要な10種類の届け出
1.【保健所】食品営業許可
食品営業許可とは、食品衛生法に基づいた許可のことで、開業の際に必ず必要な届出です。
開業の2週間前までに保健所に申請します。審査に通過したら、許可証が交付されます。これをもって、営業を開始することができます。
この届出は、全ての事業形態で必要です。
多くの人が、まずこの申請で頭を悩ませます。なぜならこの申請は、店舗が完成しなければ許可が下りないからです。
しかも、申請をするまでに事前に何度も相談に行ったりしなければなりません。
許可は誰でも取得できますが、審査はそれなりに厳しいものなので、事前の準備をしっかり行った上で、届出に臨みましょう。
2.【消防署】防火管理者選任届
お店に収容できる人数が30名を超える場合に必要な届出です。
開業する前に消防署に申請が必要です。30名以下のカフェなどの場合は不要です。
ただ、火の使用については別途届出が必要です。
3.【消防署】防火対象設備使用開始届
この届出は、開業の7日前までに消防署に届出を行います。
防火関係は飲食店に限らず全ての事業形態で必要な届け出となります。
忘れてしまうと罰則もあるくらい厳しいものですので、確実に届け出を行いましょう。
4.【消防署】火を使用する設備等の設置届け
火を使用する場合、一定の基準を超えるような設備を設置する場合は届け出の必要があります。
代表的なものをいくつか挙げると
- 熱風炉
- 厨房
- 可燃性ガスまたは常軌を発生する炉
このようなものが該当します。
飲食店の場合は厨房が該当しますので、業務形態に限らず届け出を行う必要があります。
ただし、厨房がなくドリンクのみを提供するような店の場合はこの限りではありません。
5.【警察署】深夜における酒類提供飲食営業開始届出書
午前0時以降、酒を提供する場合は警察署に届出が必要です。
営業開始の10日前までに申請しましょう。また、開業後に変更があった場合も申請が必要です。
居酒屋、バー、立呑みなどで0時を超えて営業しているお店が該当します。0時前に閉店する場合は不要です。
この届出は、業務形態によっては風俗営業許可とセットになることが多いです。
もし、0時以降も営業するかどうか悩んでいる場合は、まず自分の店舗が風俗営業許可が必要な業務形態かどうかを先にチェックしておいた方がいいでしょう。
6.【警察署】風俗営業許可
風俗営業許可は該当するかどうかの判断が非常に難しく、該当しないと思ってうっかり営業してしまうことも多い、非常にややこしい届出です。
項目はかなり多くありますが、代表的なものをいくつかご紹介します。
- 客の接待を行い、遊興または飲食をさせるような営業の場合
- 照度が10ルクス以下で営業している場合
- 区画席を設け、他から見通すことが難しく、さらにその区画が5平方メートル以下の場合
ひとつの例として、漫画喫茶やネットカフェは、風俗営業許可が必要な場合があります。
なぜなら、3つ目の「区画性を設け見通しが難しい」という部分に該当するからです。しかし、風俗営業許可を取っても、風営法によって0時以降は営業ができない場合も。
そうなると、ネットカフェとしての開店は難しいですよね。
では、深夜営業をするために飲食の提供をやめるとしましょう。そうなれば飲食店ではなくなるので、飲食店の営業許可も風俗営業の許可も不要ということになります。
しかし、飲食が提供できないのは運営にあたって痛手になります。
このように、風俗営業許可と深夜営業許可はとても難しい申請なので、酒類を扱う場合は専門家に相談することをおすすめします。
7.【税務署】個人事業の開廃業等届出書
個人事業主として店舗を開業した場合は、開業から1カ月以内に税務署に開業届を提出する必要があります。
全ての業務形態において必要な届出になります。
8.【労働基準監督署】労災保険の加入手続き
アルバイトを雇った場合、雇用した日から10日以内に加入手続きが必要です。
人数は関係なく、1人でも雇ったら必ず加入しなければいけません。
雇用形態と労働時間によって加入が左右されるのは、次に紹介する雇用保険になります。
労災保険は、どういった形態で雇ったとしても、加入する必要があります。
9.【公共職業安定所】雇用保険の加入手続き
雇用形態に関係なく、31日以上雇う予定があり、さらに週の労働時間が20時間以上となる場合は雇用保険に加入させる必要があります。
これは雇用主の義務なので、雇用形態が上記を満たしている場合は必ず加入させてください。
手続きはハローワークで行います。
10.【日本年金機構】社会保険の加入手続き
法人化して開業する場合は、社会保険への加入義務が生じます。
自分だけしかいないお店であっても、法人化している場合は加入しなければなりません。
一方、個人事業主として開業している場合は、従業員を何人雇っても加入義務はありません。従業員の福利厚生を考えて任意で加入することも可能です。
まとめ
書く届出は、期限があるもの以外については早めに手続きしておくことをお勧めします。
開業直前になるとお店の準備、従業員との打ち合わせなどで忙しくなり、届け出や手続きどころではなくなってしまいます。
届け出に関しては、特に防火関連は忘れがちですが、忘れてしまうと罰則があるくらい厳しい手続きですので、忘れないうちにまとめて届出を行っておきましょう。