はじめまして。テナント仲介サービスTEMPOLYの井関です。TEMPOLYでは普段、都内を中心に、 毎月400~500件の物件情報データ更新を行い、常時掲載している2000件以上の物件情報の中から様々なオーナーさんの条件に合う物件探しを支援しております。独自の人流データや商圏分析データに強みのあるTEMPOLYでは、家賃や坪数だけで判断せず、適正家賃か、エリアの人流はどうか、など商圏の動きもセットで見て、勝ち筋があるかを一緒に検討しています。
「駅近で家賃も手頃なのに、思ったよりお客様が入らない…」と頭を抱える原因の多くが、今回のテーマである「視認性」です。人通りの多い立地でもお客様がなかなか入らなかったり、看板の向きを変えるだけで来店数が1.5倍になった店舗もあるくらい「視認性」は店舗ビジネスにおいてとても大切な考え方です。
この記事では、都内で店舗物件を選ぶときに押さえておきたい「視認性」の基本的な考え方を、整理してお伝えします。見落としがちなポイントをチェックしていきましょう!
視認性とは何か?
まずは、「視認性」という言葉の中身を整理しておきましょう。私はいつも、視認性を次の2つに分けて考えています。
■ 発見の容易性
・通行人やドライバーが、そもそも店舗の存在に気づけるかどうか
・建物の正面がどれだけ道路側に露出しているか(店舗外観の露出度)
・間口の広さ、街路樹や電柱、隣接ビルなどの、視界のじゃまになるものがないか
発見の容易性が高ければ、通行人が「あ、ここに店があるんだ」と自然に気づいてくれます。徒歩であれば3〜5秒程度、車であれば50m以上手前から看板が視界に入っていると、認知されやすくなります。
■ 認識の容易性
・その店が「何屋さんか」「どんな価格帯か」「どんな雰囲気か」が一瞬で伝わるか
・看板や外装のデザインメッセージが、シンプルかつわかりやすいか
物理的に見えていても、『何の店かよく分からない』『自分向きかどうかピンとこない』状態だと、視認性が高いとは言えません。高い家賃を払って路面店を借りても、この認識の容易性を設計できていないと、集客効果は半減してしまいます。
視認性の高い物件とは、
・遠くからでもきちんと見つけてもらえる(発見の容易性)
・見つけてもらった瞬間に「入りたい理由」が伝わる(認識の容易性)
この両方を、建物条件と看板・外装の設計でしっかり確保できる物件だと考えてください。
業態・ターゲットによって変わる「必要な視認性のレベル」
視認性の良し悪しは、業態や顧客層によって必要なレベルが大きく変わります。どんなビジネスでも『視認性は高い方が良い』のは事実ですが、限られた予算の中で、どこまで家賃をかけるべきかは業態次第です。
2-1. 日常使いの業態と、目的があり来店する業態で視認性の重要度は違う
高い視認性がほぼ必須になるのは、次のような日常使い・衝動来店型の業態です。
・コンビニエンスストア
・カジュアルなカフェやファストフード
・ドラッグストア、スーパーマーケット
・テイクアウトメインの軽飲食 など
これらの業態は、「たまたま通りかかったから入る」「ついでに買い物をする」といった偶発的な来店の比率が高いため、視認性の悪い物件を選ぶと致命傷になりかねません。
一方で、次のような目的があり来店する・予約型の業態は、必ずしも一等地でなくても戦えます。
・専門クリニック、整体・整骨院
・予約制の美容室、エステ、脱毛サロン
・高級レストラン、会員制バー
・ニッチなコンセプトの専門店 など
これらは、ネット検索や口コミ、紹介を通じて『その店を目がけて来る』お客様が多いため、必須なのは通行量ではなく、見つけやすさと迷わない導線です。あえて視認性をほどほどに抑え、賃料を節約し、その分をデジタル集客やサービス品質に回す、そんな戦略も十分に成立します。
2-2. ターゲットの移動手段で「視認性のチェックポイント」は変わる
お客様が主に「徒歩・自転車」なのか、「車」なのかによって、視認性の見るべきポイントも変わります。
■ 徒歩・自転車がメインのケース
・駅や主要な交差点からの動線に対して、自然に目に入る位置か
・歩行者の目線の高さに、わかりやすい看板やメニューが出せるか
・入口がビルの奥に引っ込んでいないか(セットバックしていないか)
■ 車がメインのロードサイド型のケース
・遠くからでも店と駐車場の位置がわかるか
・街路樹やガードレールで出入口が見えにくくなっていないか
・安全に減速・進入・退出できる導線になっているか
どちらのケースでも、「お客様と同じルート・同じ速度で現場を歩く」ことが、本当の視認性を見極める一番のコツです。
2-3. 「隠れ家」が許される業種と、絶対に視認性が必要な業種
相談を受けていてよくあるのが、『隠れ家っぽい店をやりたい』というご希望です。このコンセプト自体はとても魅力的ですが、すべての業種に許されるわけではありません。
隠れ家戦略が相性の良い業種の例
・会員制バー、ワインバー
・大人向けの隠れ家レストラン
・予約制の美容サロンやプライベートジム など
こうした業種は、口コミや紹介で来店するお客様が多く、『わざわざ探して来ること』自体が付加価値になります。路地裏や2階以上の空中店舗でも、内装やサービスに投資して世界観を作り込めば、視認性の低さを希少性に変えることができるのです。
逆に、次のような業種は「隠れ家だから…」では済まされません。
・低単価の飲食店で、回転率が重要な業態
・コンビニ・ドラッグストアなどのコモディティ業態
・競合が多く、商品で差別化しにくいチェーン店
このような業種で視認性の低い立地を選んでしまうと、広告やクーポンで必死に集客しても、なかなか採算ラインまで届きません。視認性が取れない立地は最初から選ばないという判断も、十分に戦略的な選択です。
視認性を上げる建物・看板・外装でのポイント
「視認性」は立地だけでなく、建物条件と外装設計で大きく差がつきます。間口・天井高・ガラス面、そして階層ごとの弱点を踏まえたうえで、袖看板や照明などの出し方を工夫するのがポイントです。契約後に「看板が出せない」という状況を防ぐため、事前にどんな看板を出すのか、決めて契約時に確認することが重要です。
3-1. 間口・天井高・ガラス面が視認性に与える影響
建物そのものの条件も、視認性に大きく関わります。特に重要なのは次の3つです。
・間口の広さ:情報を出せる顔の面積が広く、差別化しやすい
・天井高:遠くからでも看板や照明を高い位置に出せる
・ガラス面積:店内の雰囲気や活気を外に伝えられる
同じ広さの物件でも、間口が狭くて奥に長い「うなぎの寝床のようなタイプ」は、視認性という意味では不利になりやすいので注意が必要です。
3-2. 1階・半地下・空中店舗で変わる「見え方」の違い
階層によっても視認性と賃料のバランスは変わります。
・1階の路面店…視認性は高いが、賃料・初期費用ともに高くなりがち
・半地下・地下…存在自体を認知してもらいにくく、案内サインが必須
・2階以上の空中店舗…袖看板や店舗外観の出し方が生命線
特に空中店舗の場合、袖看板が出せないビルは、よほど目的性の高い業態でない限り、極めて低視認性物件として慎重に判断した方が良いと感じています。
空中店舗に関しては「2階以上の「空中店舗」は集客面で不利?」を併せてご覧ください。
3-3. 看板・外装・照明で視認性を底上げする
単体の物件で視認性が完璧なケースはほとんどありません。多くの場合、看板・外装・照明で、視認性を底上げしていくことになります。
・袖看板・屋上の看板:遠方からの認知を獲得する
・店舗外観看板:店名+業態+一言コンセプトをシンプルに伝える
・A型看板・のぼり:歩行者の目線高さで具体的なメニュー・価格を見せる
・照明の計画:夜間や雨天でも「ここに店がある」とわかる明るさを確保する
これらを計画するうえで重要なのが、自治体の広告物条例やビルの看板ルールです。「契約してから看板が出せないことに気づいた」というのは、現場で本当に多い失敗例です。物件を検討する早い段階で、必ず確認しておくようにしましょう。
内見で失敗しない視認性チェックのポイント
店舗の視認性は「交通量が多いか」ではなく、お客様がどの動線で通り、何秒看板を視界に入れられるかで決まります。前面道路の条件や視界を遮る要因など、現地で具体的に検証すべき内容について解説します。
4-1. 前面道路の幅・交通量・人の流れ
視認性は交通量ではなく、動線上で看板・外観が視界に入る時間で判断します。
そこで、立地の視認性を見極めるうえで、まず注目したいのが前面する道路の条件です。
・道路幅:広すぎると歩行者との距離が開き、近接視認性が落ちる
・交通量:多いだけでなく、減速・停止が起きるポイントかどうか
・人の流れ:お客様が通る道路から自然に目に入るか
単に「交通量が多い道路沿い」ではなく、「狙いたいお客様が、店側の歩道を通り、看板を何秒見続けられるか」をイメージしながらチェックすることがポイントです。
4-2. 角地・交差点・駅前・路地裏、ポジション別の特徴
同じエリアの中でも、建物のポジションによって視認性は大きく変わります。
・角地・交差点の角…視認性が高く、情報をじっくり見てもらえる
・信号前…信号待ちの間に看板・メニューを読んでもらいやすい
・駅前…人通りは多いが、競合と看板が多く埋もれやすい
・路地裏…賃料は安いが、目的があり来店する業態でないと集客が難しい
「なぜこのポジションが空いているのか?」「周りの店はなぜ入れ替わっているのか?」といった歴史にも目を向けてみると、物件の本当の評価軸が見えてきます。
4-3. 視界を遮る要因を必ずチェックする
視認性を一気に悪くしてしまう代表例が街路樹です。
・枝葉が看板や店舗外観をすっぽり隠してしまう
・成長とともに年々見えにくくなる
・ドライバーの左右確認を妨げ、心理的に入りにくくする
冬場の内見では葉が落ちていて問題なさそうに見えても、夏場になると一気に緑の壁になってしまうケースも多いので要注意です。街路樹の位置と種類は、必ずチェック項目に入れておきましょう。
また、隣接ビルの高さや出っ張り、競合店の看板・外装、電柱なども、店舗を隠してしまう原因になります。
現地では必ず「物件の真正面」「50m〜100m手前」「反対車線側」など、複数の位置から目線を変えて見え方を確認してみてください。このとき、スマホで写真や動画を撮っておくと、複数の物件を比較するときに非常に役立ちます。
4-4. 昼・夜・平日・休日のコンディション違いもチェックする
視認性は、時間帯や季節、天候によって大きく変動します。可能であれば、少なくとも次のパターンで見え方を確認しておくと安心です。
・平日昼(ビジネス街なら人通りが多い時間帯)
・夜(周囲のビルの明かりがどの程度残っているか)
・逆光になりやすい時間帯(西日など)
・雨の日(路面の反射や窓の曇りでどれだけ見え方が変わるか)
一番条件が悪いときでも、最低限の視認性が確保できるかどうか。ここまで見たうえで、最終判断をしていただくことをおすすめします。
まとめ:「視認性の高い物件選び」で失敗しないために
視認性で失敗しないコツは、「人通りが多い=良い物件」と決めつけず、見つけてもらえるかと、内容まで伝わるかを、セットで確認することです。お客様が実際に通るルート上で、何秒・どの角度から・何が見えるのか。さらに、街路樹や周辺ビルなど、あとから気づいても手遅れな障害物まで含めて判断しましょう。
視認性は、一度物件を借りてしまうと後から変えにくい要素です。だからこそ、契約前の段階でできるだけ多くの情報を集め、客観的に判断することが、店舗ビジネスを成功させる近道になります。
「この物件、視認性はどうだろう?」「路面店にするか、あえて路地裏で隠れ家路線にするか迷っている」という方は、ぜひ一度、現地の写真や物件資料(募集図面・周辺のストビュー画像など)をまとめて、TEMPOLYにご相談ください。
TEMPOLYでは、候補に挙げた物件ごとの視認性をチェックしたり、エリアレポートや神流データを活用した来店予測であなたのビジネスをサポートできます。
「視認性で後悔しない物件選びをしたい」という方はぜひ、無料でご相談ください!
よくある質問(FAQ)
Q1. 駅近(徒歩3〜5分)の物件なら、視認性はあまり気にしなくても大丈夫ですか?
A1. 駅近=高視認性とは限りません。駅前は看板や人の情報量が多く、「何の店か」が埋もれやすいエリアです。駅からのルート上で、実際にどの位置から何秒間くらい看板が視界に入るか、街路樹やビルの出っ張りで隠れないかを必ず現地で確認してください。特に、駅に近いのに駅から見えない物件は、想像以上に集客に苦労するケースが多いです。
Q2. 賃料は高いけれど視認性の良い1階の路面店と、賃料が安いが視認性の低い2階の物件、どちらを選ぶべきでしょうか?
A2. 業態と集客スタイルによって正解が変わります。衝動来店が重要なコンビニ・軽飲食などは、1階の路面店の方が安全です。一方で、予約制サロンやニッチな専門店なら、2階の物件で賃料を抑え、その分をWEB集客や内装に回す戦略も有効です。記事内で紹介したように、「家賃+広告費」のトータルコストと、売上の伸びしろをセットでシミュレーションしたうえで判断するのがおすすめです。
Q3. すでに契約してしまった物件の視認性が低い場合、今からできる対策はありますか?
A3. 物件自体の位置は変えられませんが、「看板・外装・デジタル上の視認性」で補うことは可能です。具体的には、袖看板やA型看板、のぼりを組み合わせて物理的な露出を増やすこと、MEO対策やSNSでの発信を強化して、検索・地図上で“見つけやすくする”ことが有効です。ビルの管理規約や広告物条例の範囲内で、どこまでサイン計画を攻められるか、整理してみてください。
Q4. 街路樹が多い通りですが、季節によって視認性はどのくらい変わりますか?
A4. 街路樹の有無や樹種によりますが、葉が生い茂る時期は「看板がほぼ見えなくなる」ケースも珍しくありません。冬場の内見で問題なく見えていたのに、夏〜秋になると緑の壁になってしまい、売上が急落した例もあります。候補物件を検討するときは、ストリートビューの過去画像や自治体の植栽計画も参考にしながら、年間を通じた見え方を確認することをおすすめします。
Q5. 視認性以外に、物件選びの段階で一緒にチェックしておくべきポイントは何ですか?
A5. 視認性と同じくらい重要なのが、インフラ設備(電気・ガス・水道)の容量と、退去時の原状を回復する条件です。視認性が良くても、後から「電気容量が足りず追加工事で数百万円かかった」「解約時のスケルトン戻しで想定外のコストが発生した」となると、トータルでは失敗になってしまいます。必ず、視認性と同時に設備面の制約と将来のコストもセットで確認しておくようにしましょう。



