はじめまして。テナント仲介サービスTEMPOLYの井関です。TEMPOLYでは普段、都内を中心に、 毎月400~500件の物件情報データ更新を行い、常時掲載している2000件以上の物件情報の中から様々なオーナーさんの条件に合う物件探しを支援しております。独自の人流データや商圏分析データに強みのあるTEMPOLYでは、家賃や坪数だけで判断せず、適正家賃か、エリアの人流はどうか、など商圏の動きもセットで見て、勝ち筋があるかを一緒に検討しています。
「結局、居抜きとスケルトン、どっちがいいの?」
というのは、難しい判断ですよね。物件探しのお手伝いをしていると、そんな悩みを耳にします。
そこでこの記事では、居抜きとスケルトンの違いから始まり、「費用」「工期」「自由度」という3大要素での徹底比較、さらには失敗しないための「契約前の注意点」までを網羅しました。この記事を読み進めるだけで、あなたの事業計画に最適なのはどちらかが明確になり、物件選びの迷いがなくなります。
失敗しないための選び方やチェックリストもまとめましたので、一つずつ確認して、自信を持って理想の店舗作りへの第一歩を踏み出しましょう!
居抜きとスケルトンの違い
居抜きとスケルトンの違いを知らずに物件を選ぶと、開業後に必ず後悔します。初期費用、準備期間、店づくりの自由さが大きく変わるからです。基本を理解しておくと、お店選びで失敗するリスクを減らせます。
最短でオープンしたいなら「居抜き物件」が向いている
居抜き物件は、すぐに店を始めたい方にオススメの物件です。前の店の内装や設備を引き継げるため、ゼロから作る必要がありません。
飲食店なら厨房機器や排気ダクト、エアコンがそのまま残っています。場合によっては、テーブルや椅子まで使えることもあります。「早くオープンしたい」「なるべくお金をかけたくない」と考える人には、居抜きはかなり現実的な選択です。ただし、設備は新品ではありません。この点は最初に理解しておくべきです。
居抜きの度合いで使いやすさは変わる
居抜きには段階があり、造作物の残っている範囲で使いやすさが変わります。どこまでが自分のお店に流用できるのか、契約前に図面やリストを見直しておくと、後々のトラブルを防げます。一口に居抜きと言っても、中身は物件ごとに違います。実務では、次のように分けて考えると分かりやすいです。
フル居抜き(完全居抜き)
厨房、空調、トイレ、内装、家具までほぼ全部残っている状態です。たとえば、ラーメン店の跡に同じラーメン店を出すケースがこれに当たります。看板を替えて掃除をすれば、数週間で開店できることもあります。初期費用を一番抑えられる反面、前の店の雰囲気が強く残ります。
一部居抜き(厨房居抜き・設備居抜き)
水回りや排気設備など、重要な部分だけが残っている状態です。客席の内装や家具は撤去されています。飲食店では、この形が最もバランスが良いです。お金のかかる厨房工事を省きつつ、客席は自分好みに作れます。カフェや小さな居酒屋を始める人によく選ばれます。
内装居抜き(業態転換向け)
天井、壁、床、トイレなどの基本部分だけが残っています。厨房機器などはありません。
たとえば、元オフィスを美容室にするケースです。何もない状態から作るより、工事費と時間を減らせます。完全なスケルトンよりは楽だと考えると分かりやすいです。
内装工事を「坪20万円〜」節約できる居抜きのメリット
居抜きはお金と時間を節約できますが、元の物件のクセもそのまま引き継ぎます。
メリット
- 内装工事費を坪20万円〜安くできる
- 最短1ヶ月半でスピード開店できる
- 厨房や空調をそのまま転用できる
前の店が使っていた内装や設備を引き継げるため、大きな工事が不要です。たとえば、厨房付きの物件なら、機器を買わずに始められることもあります。自己資金が多くない人や、初出店で失敗を避けたい人には心強い選択です。
デメリット
- 設備が古い場合がある
- 間取りや動線を変えにくい
- 前の店の印象が残りやすい。
実際に当社のお客様でも、入居直後に冷蔵庫が故障し、想定外の20万円が発生したケースがありました。「前の店のサービスがひどかったから来たくない」と言われたケースもあります。
スケルトン物件の定義と特徴
スケルトンとは、建物の中がほぼ何もない状態の物件です。柱や天井、床のコンクリートが見えていて、内装や設備はありません。いわば、建物の骨組みだけが残っている状態だと考えると分かりやすいです。
スケルトン物件は、最低限の設備だけが用意されています。スケルトン渡しの場合、基本的に次の状態になっています。
- 電気、水道、ガスは建物の入口まで:分電盤や水道・ガスメーターは来ていますが、店内配線は自分で工事します。照明やコンセントもゼロから作ります。
- 床、壁、天井はコンクリートむき出し:コンクリートの素地がそのまま見えている状態です。床の高さ調整や、壁の仕上げも自分で行います。椅子がガタついてしまうのを防ぐため、床の仕上げも大切です。
- 入口ドアや窓はそのまま:建物の外装に関わる部分は既存のまま残されていることが一般的ですが、ドアの修理費を負担する場合もあります。
スケルトン物件を選ぶメリットと「見えないリスク」の判断軸
スケルトン物件は、理想の店を一から作りたい人に向いています。スケルトン物件の課題は、お金と時間が多くかかる点です。
スケルトン物件を選ぶメリット
- 内装やレイアウトを自由に決められる
- 設備を新品でそろえられる
- 良い立地の物件が見つかりやすい
何もない状態から作れるため、店の雰囲気を細かく決められます。照明を暗めにしたバーなど、最初から世界観を作り込みたい人には、大きな強みになります。
スケルトン物件を選ぶデメリット
- 初期費用が高くなりやすい
- 開業までに時間がかかる
- どの工事を優先すべきか、自分で判断する場面が増える
内装も設備も一から作るため、費用は一気に増えます。設計や工事に数か月かかり、その間も家賃は発生します。初めての出店で、予算やスケジュールに余裕がない人には負担になります。
【坪単価比較】居抜き vs スケルトンの初期費用
居抜きとスケルトンの費用差は、おそらくみなさんが想像している以上に大きいです。この差を知らずに選ぶと、開業前に資金が尽きる可能性があります。
店舗開業で一番ブレやすいのが初期費用です。同じ広さ、同じ立地でも、居抜きかスケルトンかで総額は大きく変わります。ここでは、開業にかかる費用の相場感と見落としやすいお金の話を整理します。
最大3倍!?居抜きVSスケルトンの価格差まとめ
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業種 |
居抜き(坪単価) |
スケルトン(坪単価) |
価格差の目安 |
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飲食店 |
15万〜50万円 |
50万〜120万円 |
約2〜3倍 |
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美容室・エステ |
20万〜60万円 |
40万〜90万円 |
約1.5〜2倍 |
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物販・オフィス |
10万〜35万円 |
30万〜70万円 |
約2倍前後 |
※この価格は目安です。物件の状態や設備の残存状況、工事内容によって上下します。
飲食店|排気工事の高額化に注意
居抜き物件の場合は、坪15万〜50万円が目安です。クロスの張り替えや照明交換だけなら坪15万〜30万円程度で済みますが、これは厨房や空調、トイレが正常に使えることが前提の話。ガスレンジの交換や冷凍庫追加、客席の間仕切り変更をすると30坪以内で坪20万円前後、100坪以内で坪40万円前後、それ以上なら坪50万円の設備コストが追加で発生します。
スケルトンの場合は坪50万〜120万円ほどです。重飲食(焼肉・中華・ラーメン)は排気工事が大規模で、80万以上になることも珍しくありません。火をあまり使わないカフェやバーは、40万〜80万円に収まる例もあります。
短期間で低コスト開業したいなら居抜き、理想の厨房レイアウトや内装にこだわりたいならスケルトンが向きます。
美容室・エステ|給排水や電気容量は影響大
居抜き物件の場合は、坪20万〜60万円が目安です。シャンプー台や待合スペースのデザイン変更だけであれば坪20万〜40万円程度で済みます。ただし、給排水の位置を変更する場合は床上げ工事や配管工事が必要で、坪50万〜60万円ほどになることもあります。
スケルトンの場合は坪40万〜90万円ほどです。給湯設備(ボイラー)の設置や多数のシャンプー台への給排水配管、電気容量の確保が必要になります。照明や内装のデザインにこだわるとさらに費用が上がります。
初期費用を抑えつつ、ある程度のレイアウト変更だけで済ませたい人は居抜き向きです。逆に、自分の理想の空間を最初から作り込みたい場合はスケルトンが適しています。
物販・オフィス|工事は少なくコストを抑えやすい
居抜き物件の場合は坪10万〜35万円が目安です。棚や什器の持ち込みが中心で、内装工事費は比較的安く抑えられます。オフィスの場合も、既存の空調や照明が残っていれば、パーテーションや通信配線工事だけで開業可能です。
スケルトンの場合は坪30万〜70万円ほどです。内装仕上げや空調設備の新設が必要ですが、デザインをシンプルにすれば費用を抑えやすくなります。
物販・オフィスなら、居抜きでもスケルトンでも大きな費用差は出にくいため、予算やブランドイメージに合わせて選択するのが現実的です。
見積もりで見落としやすいポイント
開業時の見積もりには表面化しにくい費用が多数あります。居抜き物件とスケルトン物件それぞれで特に注意すべきポイントを整理します。
居抜き物件の場合
- 造作譲渡料:相場は無償から300万円程度が一般的ですが、一等地で内装が豪華かつ設備が新しい場合は500万〜1,000万円以上になるケースもあります。価格の妥当性は、残存簿価や中古市場価格と比較して判断することが重要です。また、前テナントがスケルトン戻し工事を避けたい状況では、交渉によって譲渡料を減額したり、無償譲渡を引き出したりすることも可能です。
- 専門クリーニング費用:厨房油汚れ(グリスフィルターやダクト内部)、排水管の高圧洗浄、トイレの尿石除去など、素人清掃では対応できない汚れには専門業者によるクリーニングが必要で、30万〜100万円程度かかる場合があります。
- 機器の修理・入替費用:譲渡されたエアコンや冷蔵庫が開業直後に故障することがあります。保証期間が切れている場合は全額自己負担で修理や買い替えが必要になるため、予備費を計上しておくことが重要です。
- 解体費用(出口戦略):退去時に次のテナントへ居抜きのまま譲渡できれば解体費用は不要ですが、譲渡先が決まらない場合は、入居時に引き継いだ設備も含めてスケルトン返し義務が発生します。この場合、残置物処分費などが上乗せされ、高額になるリスクがあります。
スケルトン物件の場合
- 原状回復工事費:退去時には、内装をすべて解体してスケルトンに戻す「原状回復工事費」が発生します。相場は坪3万〜10万円程度ですが、物件の規模や施工内容によってさらに高額になる場合があります。
- インフラ増強費用:電気、ガス、水道などの設備容量が不足している場合、トランス増設やガス管・水道管の引き込み工事が必要となり、数百万円単位の追加費用が発生することがあります。特に飲食店では大容量の電力やガスを使用するため、注意が必要です。
- B工事費用:型ビルや商業施設では、借主負担で貸主指定業者に発注する「B工事」が発生することがあります。対象は防災設備、防水工事、空調換気幹線などで、市場価格より1.5倍〜2倍程度になる場合もあります。契約前に概算を確認し、資金計画に組み込むことが重要です。
- 予備費用:スケルトン物件では全てを新規施工するため、設計変更や追加工事が発生する可能性があります。予想外のコスト増に備えて、一定の予備費を見込むことが推奨されます。
開業までの期間で比較|最短で始められるのは?
物件契約からお店のオープンまでの期間は、キャッシュの流れに直結します。家賃や光熱費が出ていく期間を短くできるかで、資金面の負担が大きく変わります。ここでは、居抜きとスケルトンでどのくらい差があるのか、具体的な工程と期間を比べて解説します。
居抜き物件の場合
居抜き物件なら最短1か月半でオープン可能です。既存設備を活用できるため、工事や手間を大幅に減らせます。
よくある工事の流れ
- 契約・引き渡し(Day 0)
賃貸借契約と造作譲渡契約を締結し、鍵の引き渡しを受けます。 - 設計・プランニング(1〜2週間)
既存図面がある場合、採寸の手間はほとんどありません。レイアウト変更を行わなければ、壁紙や床材の選定、看板デザイン、厨房機器の配置だけで済みます。意思決定もスムーズです。 - 内装・設備工事(2週間〜1ヶ月)
解体作業はほぼ不要です。クロス張り替え、塗装、クリーニング、一部機器の入れ替え中心で、乾かす時間も少なく工期が短縮されます。 - 検査・許可申請(工事と並行〜完了直後)
保健所や消防署の立ち合いがありますが、既存設備が基準を満たしていれば再検査リスクは低いです。 - 開業(1.5ヶ月〜)
スタッフ研修やプレオープンを経て、契約から1.5か月程度でグランドオープン可能です。繁忙期に合わせた急な出店でも、居抜きなら間に合います。
居抜き物件の経済的メリット
- フリーレントの有効活用:多くの賃貸契約では1〜3ヶ月程度のフリーレント(家賃無料期間)が設定されることがあります。居抜き物件であれば、この期間内に工事を完了させ、家賃が発生した最初の月から収益を上げられるため、キャッシュフローが大幅に改善します。
- 機会損失の回避:例えば、12月の忘年会シーズンや3月の歓送迎会シーズンなど、繁忙期に合わせて急遽出店を決定した場合、工期のかかるスケルトンでは間に合いませんが、居抜きであれば商機を逃さず参入できます。
スケルトン物件の場合
スケルトン物件は何もない状態から作るため、準備期間は3〜6か月かかります。自由度は高いですが、開店までの道のりは長くなります。
よくある工事の流れ
- 契約・引き渡し(Day 0)
- 設計・見積もり調整(1ヶ月〜2ヶ月)
平面図、設備図、照明計画など数十枚の図面を作成します。初回見積もりは予算オーバーしやすく、業者や仕様を変更しながら調整するため時間がかかります。 - B工事・各種申請(着工前〜着工中)
ビル指定業者との打ち合わせや発注手続き、消防署への工事届提出が必要です。B工事が完了しないとC工事(内装)が進められません。 - 内装・設備工事(1.5ヶ月〜3ヶ月)
墨出し、床下配管、土間コンクリート打設、LGS下地施工、壁・天井仕上げ、器具取り付けまで、多くの工程があります。飲食店では厨房防水や段差調整も必要で、養生期間を含めるとさらに時間がかかります。 - 検査・引き渡し・開業準備
官公庁検査や施主検査を経て引き渡されます。不具合があれば手直し工事が入るため、工期が延びるリスクがあります。
期間長期化のリスク要因
- 資材調達の遅れ(サプライチェーンリスク):世界情勢や物流の影響で、特定建材や設備(例:半導体不足による給湯器、海外製照明器具)の納期が不安定になり、工期が数週間〜数か月延びる可能性があります。
- 予期せぬ躯体トラブル:解体後に漏水や想定外の梁が見つかると、追加工事と工期延長が避けられません。
理想の店をどこまで追求するか?デザイン自由度の比較
店舗デザインは、集客や作業効率に直結します。自由に空間を作りたいならスケルトン、コストや既存設備を活かしたいなら居抜きが向きます。ここでは両者の違いを具体例付きで解説します。
業態による選び方のポイント
業種・業態によって、物件形態との相性は変わります。
1. 飲食店(重飲食 vs 軽飲食)
重飲食店、例えば焼肉や中華、ラーメン、焼き鳥などでは、強力な排気設備やグリストラップの設置が必須で、設備工事費が非常に高くなります。そのため、同じ業態の居抜き物件が見つかれば、排気や排水の設備がすでに整っていることで数百万円単位のコストを節約できます。レイアウトに多少の不満があっても、居抜きを選ぶほうが現実的です。一方、カフェやバー、サンドイッチ店などの軽飲食では、設備への負荷が小さく、家庭用レベルの機器で済む場合もあります。この場合はスケルトンから作っても比較的費用を抑えやすく、デザインや雰囲気を重視してスケルトンを選ぶことが多いです。また、元美容室や物販店の居抜きを活用しておしゃれな空間に仕上げるケースも見られます。
2. 美容室・サロン
美容室では、水回りの位置とシャンプー台の数が運営に直結します。居抜き物件だと、シャンプー台の配管数が不足していたり、位置が壁に近く作業しにくい場合があります。配管を新設したり床上げ工事をすると費用はスケルトン並みになるため、レイアウトに妥協できない場合はスケルトンが向いています。エステやマッサージ、クリニックのように個室が必要な業態では、間仕切り壁や空調設備がそのまま使える居抜き物件が非常に便利で人気があります。元エステやクリニックの居抜きは、設備や壁を再利用できるため、開業コストを抑えつつ個室を確保できます。
3. 物販・アパレル・サービス
物販やアパレル、サービス業では、内装設備よりも空間の形や立地、店舗正面のガラス面の広さといった視認性が重要です。特定の内装に依存しないため、スケルトン物件の方が什器配置を自由に決めやすく、商品を効果的に見せられます。ただし、棚や照明が残る居抜き物件は、初期費用を抑えたい雑貨店や小規模ショップには魅力的な選択肢です。
あなたはどっち?ケース別おすすめ比較
初めて店舗を開く人は、資金や経験の状況によって向く物件が変わります。ここでは、居抜きとスケルトンのどちらが向くか、具体的なケースに沿って整理します。
初期費用重視・スモールスタートなら居抜きがおすすめ
初めての開業、個人事業主、自己資金が潤沢でないという方には、高額な設備工事を避けられる居抜き物件がおすすめです。物件選びの際は、次の4点を意識しましょう。
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- 同業種居抜きの活用:厨房やトイレ、防水工事が整った物件なら、契約から1〜2ヶ月で営業開始できます。融資負担も少なく、キャッシュフローのリスクが低いです。
- 妥協点を見つける:理想のレイアウトでなくても、オペレーションで補えるか、メニューを設備に合わせて調整できるかを考えます。
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- 一点豪華主義:予算が限られる場合は、カウンターや椅子、看板や照明などお客様が触れる部分に資金を集中投下し、安っぽく見せない工夫をします。
- 造作譲渡の交渉:機器の状態をリスト化し、古い設備が多ければ譲渡料を減額交渉。無償なら即決するオファーは前テナントに有効です。
デザイン・ブランディング重視・長期経営の場合
多店舗展開しているチェーン店、世界観を売りにするライフスタイルショップなどは、ゼロから空間を作れるスケルトン物件がおすすめです。物件選びの際は、次の3点を意識しましょう。
- 制約確認:ビル側の工事制限や法規制を事前に確認し、デザインの実現性を把握します。
- 運営効率を考慮:スタッフ動線、清掃のしやすさ、省エネなどを組み込み、ランニングコストを抑えます。
- 長期契約を確保:投資回収のため、定期借家契約などで十分な期間を確保します。
開業者のためのリスク分散の考え方
初めての開業では計画通りに進む保証はありません。大きな借入を抱えるリスクは避けるべきです。以下の理由から、なるべく状態の良い居抜き物件を探すのをおすすめします。
- 損益分岐点を低くする:居抜き物件なら初期投資が少なく済むため、固定費が下がり少ない売上でも利益が出やすくなります。これにより、少ない売上でも利益が出る(損益分岐点が低い)強固な収益構造を作れます。
- 撤退リスクを抑える:万が一お店の経営に失敗してしまっても、借入が少なければ再起しやすいです。居抜き物件なら次のテナントに譲渡して撤退コストも抑えられます。
- スピード開業で生存率を高める:居抜き物件なら早く開業できるため、物件を借りた後もすぐにキャッシュフローを生み出せます。いち早く顧客との接点を持つことで、店舗の生存率を上げられます。
ただし「安物買いの銭失い」 には要注意です。安い居抜き物件は設備トラブルが起きやすく、修理費や営業停止で売上に影響します。専門家によるインフラ調査を行い、状態の良い物件を選ぶことが重要です。
契約前に絶対チェックすべきポイント3選
物件契約では、特に居抜き物件に関して法的・実務的なリスクを見落とすと、開業そのものに影響します。契約前に確認すべきポイントを具体例付きで解説します。
原状回復義務の確認
賃貸借契約において最もトラブルが多いのが、退去時の「原状回復」の範囲です。退去時の原状回復義務を事前に把握していないと、予想外の費用が発生します。
スケルトン物件の場合
契約書に「スケルトン戻し」と明記されるのが一般的です。壁や天井、床、配管、配線をすべて撤去し、何もない状態に戻す必要があります。解体業者の指定があるかも確認しましょう。
居抜き物件の場合
居抜き物件の契約書には、「前借主の原状回復義務を承継する」という条項が含まれることがあります。つまり、自分が設置していない設備も、退去時には撤去してスケルトンに戻さなければなりません。対策として、「居抜き承継特約」を契約に盛り込み、入居時の状態に戻せばよいのか、スケルトン返しが必須なのかを明確にしましょう。
造作譲渡・設備状態の確認
譲渡契約で設備の状態を確認しなければ、開業直後にトラブルが発生します。とくに気を付けたいポイントは以下の3点です。
- 資産リストの精査と照合:契約書には「厨房機器一式」といった曖昧な表現ではなく、メーカー名や型番、製造年、数量まで記載された詳細なリストを添付させます。現物と照合し、機器が揃っているか確認します。
- リース品の混入チェック:厨房機器やエアコン、クレジットカード端末などがリース契約中でないか確認します。誤ってリース契約中の商品を購入してしまうと、後で返還や残債支払いを求められる場合があります。
- 契約不適合責任の確認:通常、譲渡契約には「免責特約」が含まれ、設備の不具合について前テナントに請求できません。引き渡し前に必ず動作確認を行い、問題があれば譲渡代金から修理費を差し引く交渉をしましょう。専門業者を同行させると確実です。
解約予告期間と違約金
結論として、撤退リスクを考えるなら、解約予告期間と特約を確認する必要があります。通常は3〜6ヶ月前予告ですが、期間中に次のテナントが見つからなければスケルトン解体が必要になります。「後継テナント決定時に即時解約できる特約」があると、家賃の無駄を防げます。
リスク回避のために専門家の活用もおすすめ
しかし、賃貸借契約には何かと専門的な知識が必要で、初めて店舗を開業する方が契約を正しく見極めるのは実際のところ難しいです。安全性を上げるなら、契約や設備の判断のために専門家の力を借りるのも有効です。
施工会社には内見に同行してもらい、希望する改装が可能かや設備の劣化状況をチェックしてもらいます。厨房機器業者には、機器の動作確認や部品の供給状況を見てもらい、開業後のトラブルを未然に防ぎます。不動産仲介業者は、居抜き物件に慣れた専門家を選ぶと、造作譲渡や契約書の特約作成の調整もスムーズに進み、契約トラブルを避けることができます。
居抜きとスケルトン、どっちを選ぶ?結論ガイド
店舗開業に向けて「居抜き」と「スケルトン」のどちらが向いているか迷う人向けに、費用や期間、自由度を整理し、判断しやすいガイドをまとめました。
居抜き・スケルトンの比較表(費用・期間・自由度)
以下の表は一般的な傾向を示しています。物件によって条件は変わるため、参考値として活用してください。
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比較項目 |
居抜き物件 |
スケルトン物件 |
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初期費用(内装・設備) |
◎ 安い (坪15万〜50万) |
△ 高い (坪40万〜100万以上) |
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造作譲渡料 |
△ 発生する場合あり (0〜300万) |
◎ なし |
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開業までの期間 |
◎ 短い (1〜2ヶ月) |
△ 長い (3〜6ヶ月) |
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レイアウトの自由度 |
△ 低い (既存依存・要工夫) |
◎ 高い (完全自由) |
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デザイン性・ブランディング |
△ 制約あり・前店の印象残存 |
◎ 自在に表現可能 |
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設備の状態・信頼性 |
× 老朽化・故障リスクあり (免責) |
◎ 新品・保証あり |
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原状回復(退去時) |
△ 契約次第だが承継リスクあり |
× 確実に費用発生 (坪3〜10万) |
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物件数・選択肢 |
△ 少ない (タイミング重視) |
○ 比較的多い |
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融資の通りやすさ |
○ 投資額が低く計画しやすい |
△ 投資額が高く審査ハードル高い |
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おすすめの事業者 |
個人開業、初出店、資金重視 |
チェーン店、高級店、長期経営 |
二択であなたに合う物件形態を簡単チェック
次の質問に対して、AとBのどちらが多く当てはまるか確認すると、自分に向いた物件形態が見えてきます。
Q1. 開業資金(自己資金+融資)の余裕は?
- A. ギリギリ。借入を減らしてリスクを抑えたい
- B. 潤沢。初期投資がかかっても理想の店を作りたい
Q2. お店のコンセプトと物件の関係は?
- A. 物件に合わせてメニューや運営を柔軟に変えられる
- B. ブランドイメージや動線に一切妥協できない
Q3. 開業希望時期は?
- A. 1〜2ヶ月以内にすぐ始めたい
- B. 半年後でも構わないので、じっくり準備したい
Q4. 設備トラブルへの対応力は?
- A. 故障は自分で直すか安く直せるルートがある
- B. 故障で営業が止まるのは絶対に困る
Q5. ターゲットとする顧客層は?
- A. 価格重視や近隣の日常利用客
- B. 高単価、非日常体験を求める客
診断結果
- Aが多い方:居抜き物件がベストマッチです。初期リスクを最小限に抑え、早期の黒字化を目指しましょう。契約前に専門家による設備診断を行い、将来の修繕リスクを把握してください。浮いた資金は広告や人件費など運転資金に回すと、集客の初速が上がります。
- Bが多い方:スケルトン物件がベストマッチです。独自の空間を作ってブランド力を強化しましょう。設計やデザインには十分時間をかけ、動線効率や掃除のしやすさも考慮するとランニングコストを抑えられます。契約前にB工事費やインフラ容量を確認し、予算オーバーを防ぐ資金計画を立てることも重要です。
まとめ|居抜きとスケルトンどっちを選ぶかの結論
「居抜き」か「スケルトン」か。最終的な判断基準は、以下の3点に集約されます 。
- 安さ優先なら「居抜き」: 初期費用を最大3倍抑え、最短1.5ヶ月でスピーディーに開業できます。
- こだわり重視なら「スケルトン」: 3〜6ヶ月かけて、ブランドイメージや動線をゼロから自由に設計できます。
- 契約時のチェックが命: 契約前に原状回復の範囲をしっかり見直しておくと、退去時のトラブルを未然に防げます。
浮いたお金をインスタ広告や求人に回せば、オープニング初日の集客もぐっと楽になります。
もし「自分の計画にどちらが合うか、まだ迷う」という方は、どうぞお気軽にTEMPOLYへご相談ください。独自の人流データと豊富な物件情報をもとに、あなたにとって最適な「勝ち筋」を一緒に検討します。



