はじめまして。テナント仲介サービスTEMPOLYの井関です。TEMPOLYでは普段、都内を中心に、 毎月400~500件の物件情報データ更新を行い、常時掲載している2000件以上の物件情報の中から様々なオーナーさんの条件に合う物件探しを支援しております。独自の人流データや商圏分析データに強みのあるTEMPOLYでは、家賃や坪数だけで判断せず、適正家賃か、エリアの人流はどうか、など商圏の動きもセットで見て、勝ち筋があるかを一緒に検討しています。
そんな中、最近ご相談が増えているのが、「事務所仕様物件をどう活用するべきか」というテーマです。普通のオフィスとして使うだけでなく、予約制サロンやスクール、ECのバックヤード、事務所兼自宅など、うまく使えばコストを抑えながら柔軟な拠点づくりができる一方で、用途の制限や原状の回復、消防法など、知らないまま契約すると後から大きなリスクになるポイントも少なくありません。
そこでこの記事では、事務所仕様物件の基本スペックから、店舗や住居との違い、業態別のおすすめ活用パターン、契約時のチェックポイントまでを一気通貫で整理しました。「自分の業態や事業フェーズにとって事務所仕様物件は本当にマッチするのか」「どんな条件なら前向きに検討してよいのか」を、自分のものさしで判断できるようになることが目的です。もちろん、実際の物件選びでは図面だけでは分からない部分も多いので、迷ったときにはTEMPOLYにご相談いただけるとうれしいです。
事務所仕様物件ってどんな物件?
事務所仕様物件の最大の特徴は、「デスクワークとPC作業に特化した設計」です。
特に重要なのが「OAフロア(二重床)」です。床下に数センチの空間があり、電源やLANケーブルを通せるため、配線コードで足元がごちゃつきません。レイアウト変更時も工事が不要で配線を動かせるため、人員の増減にも柔軟に対応できます。
照明も、机上で十分な明るさが確保できるよう、天井全体にベースライトが均等に配置されているケースが一般的です。住宅のように一部だけ暗い、スポットライトで手元が見えづらい、といったことが少なく、長時間のパソコン作業でも目が疲れにくい環境をつくりやすいのがポイントですね。
このように、「仕事のしやすさ」「配線のしやすさ」「レイアウト変更のしやすさ」が、事務所仕様物件を選ぶ最大の価値だと考えていただくと分かりやすいと思います。
1-1 住宅用物件より強い床荷重(300kg/㎡)と天井高
事務所仕様物件の床荷重と天井高は、居住用とは前提が異なります。目安としては次の通りです。
・住宅:約180kg/㎡(重い本棚などは床が抜けるリスクあり)
・事務所:約300kg/㎡以上(サーバーラックや大型の複合機も余裕)
EC事業の在庫保管や、大量の書類を扱う士業の場合、マンションの一室では床荷重オーバーでトラブルになる可能性があります。書庫用のスチールラックや大型複合機、サーバーラックなど、重量のある什器も安心して設置できるのが事務所仕様物件の強みです。
また、天井高もオフィスビルでは2メートル60センチ前後、グレードによっては3メートル近くあることもあります。天井が高いと開放感が出るだけでなく、空気の循環効率も良くなり、空調の効きムラが減るというメリットもあります。「人が多くなるとすぐ暑くなる」「一部の席だけ寒い」といったストレスを減らしやすいのも、事務所仕様ならではですね。
1-2 空調と換気|快適さと省エネのバランス
近年の事務所仕様物件では、テナントごとに温度設定や運転を変えられる個別の空調が主流になっています。昔ながらのセントラル空調に比べて、フロアの一部だけ冷やしたい、土日だけ動かしたいといった細かなニーズにも対応しやすく、電気代の無駄も抑えやすいのが特徴です。
換気設備も、一定回数以上の空気入れ替えができるよう設計されているため、窓が開かない高層階でも、法律で求められる換気量を確保しやすくなっています。コロナ禍以降は、換気性能を気にする入居企業も増えているので、このあたりのスペックは内見時にきちんと確認しておきたいポイントです。
構造や設備の違いは図面だけでは見抜きにくいため、内見のついでにメジャーで天井高などを測っておくと、後から什器が入らないといったトラブルを防げます。
初期費用で選ぶ|居抜き・セットアップ・通常仕様の比較
2-1 通常仕様と居抜きオフィス|初期費用と退去リスクのバランス
「通常仕様」と「居抜き」、どちらを選ぶべきかは以下の基準で判断します。
・居抜きがおすすめ:初期費用を抑えたい、3年以内の短期利用、内装にこだわりがない
・通常仕様がおすすめ:5年以上の長期利用、自社のブランディングを内装で表現したい
通常仕様では、白い壁とタイルカーペット、標準照明だけのシンプルな状態で貸し出され、会議室や受付などは入居側が自由にレイアウトしてつくり込んでいきます。一方、居抜きオフィスでは前テナントが残した会議室や受付、場合によっては家具までそのまま使えるため、イニシャルコストを大幅に抑えられるのがメリットですね。
ただし居抜きの場合、退去時には前テナントの造作も含めてまとめて原状を回復する義務を引き継ぐことが多く、結果的に解約時の負担が重くなるケースもあります。「入るときは安く済んだけれど、出るときに思った以上の費用がかかった」という声も少なくありません。
TEMPOLYでは、その物件にどれくらいの期間入る想定なのか、レイアウトをどこまで変えたいのか、移転の可能性はどれくらいあるのか、といった点をヒアリングしたうえで、居抜きが本当に得かどうかを一緒にシミュレーションするようにしています。
2-2 セットアップオフィス|デザイン込みで借りるという選択肢
近年増えているのが、ビルオーナーがあらかじめデザイン性の高い内装をつくり込んだ「セットアップオフィス」です。受付や会議室、ラウンジスペースが最初から整っているため、入居側はほとんど工事をせずにすぐ業務をスタートできるのが大きな魅力です。
セットアップの坪単価加算は、10坪なら+1万円(月10万円増)、30坪なら+5,000円(月15万円増)、100坪超なら+3,000円程度が目安です。
30坪の場合300万規模の初期工事費を節約できる代わりに、ランニングコストが高くなる仕組みです。2年以上入居する場合は、トータルコストで通常仕様の方が安くなる分岐点が来ることが多いです。
またセットアップ内装はオーナー資産となるため、退去時はスケルトンではなく「入居時の状態に戻せば良い」というメリットもあります。スケルトン戻しに比べて原状回復のコストを抑えられるケースも多いです。
どこまで自社の世界観を表現したいか、どれくらいの期間その拠点を使う想定かによって、通常仕様かセットアップ仕様かの向き不向きは変わってくるのです。TEMPOLYでは、その会社の成長フェーズやブランド戦略も踏まえたうえで、どの形態が一番バランスが良いかを一緒に検討するようにしています。
店舗・住居との違い|「水回り」と「寝泊まり」の限界
3-1 店舗仕様との決定的な違いはインフラ容量
事務所仕様を「店舗」として使うには、基本的にインフラの限界があり、用途はかなり限られます。本格的な飲食店や美容室などには転用が難しい3つの理由を解説します。
- 排水:床下に配管スペースがなく、グリストラップ(油水分離槽)を埋め込めない。
- ガス:給湯室用の細い管しかなく、業務用の強力なコンロを使えない。
- 電気:大型オーブンなどを動かすための動力電源(3相200V)がない場合が多い。
「後から工事すればいい」と思っても、ビルの構造上、ほとんどが不可能です。そのため、事務所仕様物件で現実的にできる店舗利用は、あくまで軽飲食や物販、予約制サロンなど、インフラ負荷の低い業態に限られると考えておいた方が安全です。「あとから無理やり工事する」のは難しい領域なので、最初の物件選びの段階でしっかり見極めたいポイントですね。
3-2 住居仕様との違いと、自宅兼事務所を考えるときの注意点
一方、住居仕様との違いで大きいのは、「事務所仕様物件には生活の設備が原則備わっていない」という点です。浴室や洗濯機置き場、広いキッチンなどは想定されておらず、あくまで執務のための最低限の水回り(給湯室)だけがあるケースが一般的です。
契約上も用途は事務所となっているため、住民票を置いたり、夜間に寝泊まりしたりすることは禁止されているケースがほとんどとなります。防災・防犯の観点からも、ビル側が夜間の常駐を認めていないケースが多数派です。
自宅兼事務所を検討されている場合は、最初から併用の住宅として設計された物件や、SOHO可マンションといった別の選択肢を検討する必要があります。用途地域や床面積の割合、住宅ローン控除との関係なども絡んできますので、このあたりは個別に専門家と組んで設計していくイメージですね。
「事務所仕様物件を無理やり住居兼用にする」という発想ではなく、「事務所仕様でできる範囲」と「住居仕様でしかできないこと」を切り分けて考えることが、結果的にトラブルを避ける近道になります。
事務所仕様物件を選ぶメリットとデメリット
4-1 初期費用と内装コストを抑えやすいメリット
事務所仕様物件を選ぶ大きなメリットの一つは、「内装工事にかかるコストと時間を抑えやすい」という点です。スケルトンの店舗物件であれば、空調や照明、防災設備などを一からつくり込む必要がありますが、オフィスビルではそれらが最初から整っていることがほとんどです。
その分、テナント側は家具や什器、間仕切りといった部分に集中して投資でき、工期も短く済みます。「できるだけ早く立ち上げたい」「内装に大きな予算はかけられない」といったフェーズの会社にとっては、事務所仕様物件は非常に相性が良い選択肢になるのです。
また、セットアップオフィスのように内装が賃料に含まれている形であれば、自社で多額の内装を資産計上せずに済むため、バランスシートを軽く保ちやすいという側面もあります。会計・税務の観点からもメリットがあるケースですね。
4-2 レイアウト自由度と業務効率の向上
もう一つのメリットは、「レイアウト変更の自由度が高く、業務の効率を上げやすい」ことです。多くのオフィスビルは、柱を外周部に寄せてフロア中央をすっきり使える無柱の空間になっています。
そのうえで照明や空調の吹き出し位置が一定のグリッドで配置されているため、どこに間仕切りやデスクを置いても極端に暗くなったり、空調が届きにくくなったりしにくい設計になっているのが特徴です。
OAフロアと組み合わせることで、部署ごとの島型レイアウトやフリーアドレス、集中ブースなど、事業フェーズや働き方に合わせたレイアウト変更をしやすいのも事務所仕様の強みですね。「採用で人が増えた」「オンライン会議が増えた」といった変化にも対応しやすい間取りと言えます。
4-3 用途制限や原状の回復|注意したいデメリット
一方で、事務所仕様物件には事業用賃貸ならではの厳しいルールもあります。まず、多くのビルでは品位保持やセキュリティの観点から、風営法関連業種や騒音が大きい業種、不特定多数が出入りする業態を禁止しています。「契約上は事務所なのに、実質的には店舗」という形態は、基本的に好まれません。
また、事業用の原状回復は住宅に比べて範囲が広く、通常損耗まで含めて借主負担とする特約が入っているケースがほとんどです。壁紙やタイルカーペットの全面張り替え、造作壁の撤去だけでなく、天井のビス穴補修や塗装まで求められることもあり、退去時にまとまったコストが発生しがちです。
契約書のドラフトをきちんと読み込んだうえで、「どこまでがオーナー負担で、どこからがテナント負担なのか」をあらかじめシミュレーションしておくことが大切ですね。TEMPOLYでは、原状を回復する条項や工事の区分についても一緒に整理しながら、将来の解約リスクも含めて物件を評価するようにしています。
業態別のおすすめ活用法|サロン・EC・士業の成功パターン
5-1 士業・コンサル・IT企業など小規模オフィス
弁護士や税理士、コンサルティングファーム、スタートアップのIT企業などは、事務所仕様物件との相性が非常に良い業態です。少人数からスタートしても、信用力と拡張性の両方を確保しやすいからです。
住所の表記がマンションの一室よりもオフィスビルだと、取引先や金融機関からの信頼を得やすく、採用活動もスムーズに進みやすい傾向があります。また、来客対応用の会議室を確保しやすいこと、セキュリティレベルを自社基準で設計しやすいことなど、多くのメリットがあります。
シェアオフィスやコワーキングから卒業して、そろそろ自分たちの拠点を持ちたいというタイミングでは、いきなり大型オフィスに移るのではなく、まずは小ぶりな事務所仕様物件からスタートするのも現実的な選択肢ですね。
5-2 予約制サロンやスクールなどの店舗
契約上はあくまで事務所利用であることが多いため、不特定多数の来客を想定していないか、看板の出し方や共用部の使い方がビル規約に反していないかなどは、事前にしっかり確認しておく必要があります。
ただし、物件によっては、以下の業態は、事務所仕様物件でも許可されている場合がありますのでご確認ください。
・美容系:ネイル、まつエク、鍼灸(※完全予約制に限る)
・教室:マンツーマンの語学教室、プログラミングスクール
路面店に比べて坪単価が2〜3割安く、保証金も抑えられるため、浮いた資金を集客広告費に回せるのが強みです。オートロック付きのビルであれば、安心感や「隠れ家感」を演出しやすいのもポイントです。
5-3 EC事業のバックヤード拠点として使う
D2Cブランドや小規模EC事業者にとっては、事務所仕様物件を在庫管理とバックオフィス機能をまとめた拠点として使うパターンも有効です。オフィス街の中に「小さな物流の拠点」を構えるイメージです。
床荷重が住宅よりも高いため、軽量スチールラックを並べてアパレルや雑貨、本などの在庫を保管しやすく、同じ空間で受発注やカスタマーサポートも行えます。倉庫専用物件に比べて空調やセキュリティ設備が整っているので、温度変化に弱い商材を扱う場合や、少人数で効率よく運用したい場合には特に向いていますね。
「郊外の大型倉庫+都心のオフィス」をいきなり用意するのではなく、「まずは事務所仕様物件で一体運用してみる」というステップを挟むことで、固定費を抑えながら事業の伸びを見極める戦略も取りやすくなります。
店舗的に使うときの法的ラインとトラブル防止策
6-1 どこからが店舗利用とみなされるか
事務所仕様物件を店舗的に使う場合、「どこからが店舗利用とみなされるか」というラインを押さえておくことが重要です。ここを勘違いしたままスタートしてしまうと、後から消防署やビル側からの指摘につながりかねません。
どこからが「店舗利用」とみなされるかの境界線は重要です。
・NG:看板を出して不特定多数が来店する、店頭で商品を販売・陳列する
・OKの可能性大:看板を出さない、完全予約制、ネット販売の発送作業のみ
特に「不特定多数の出入り」は、ビルのセキュリティや消防計画(避難経路)に関わるため、無断で行うと即退去を通告されるリスクがあります。
一方、完全予約制でインターホンを押した方だけを案内するスタイルや、ショールームとして展示だけ行い、販売や配送はオンラインで完結させるスタイルであれば、事務所利用の範囲内と解釈される余地もあります。ただし最終的な判断は各自治体や消防署、ビルオーナーの運用にも左右されるため、グレーな状態での運営は避けたいところですね。
6-2 不特定多数の来客がある業態での注意点
不特定多数の来客がある業態では、共用部の使い方がトラブルの火種になりがちです。事務所ビルの共用部である廊下やエントランスは、あくまで通路であり避難経路でもあります。
待合用の椅子を置いたり、装飾や立て看板を置いたりすることは、消防法や管理規約で禁止されていることがほとんどです。オフィスのテナントからすると、「自分たちの出入りがしにくくなる」「避難経路が狭くなる」という実害にもつながりやすい部分ですね。
また、共用トイレの仕様や清潔感も、来店型サロンにとっては大きなポイントです。特に女性専用サロンの場合、男女共用の古いトイレしかない物件では、せっかくのサービスクオリティが環境面で損なわれてしまうこともあります。
こうした部分はポータルサイトの情報だけでは分かりにくいため、TEMPOLYでは内見時に共用部も含めて細かくチェックし、業態との相性を正直にお伝えするようにしています。
6-3 騒音や匂いへの配慮
事務所ビルはもともと静かな執務環境を前提としているため、音や匂いに対してシビアなテナントも多く入居しています。ここへの配慮が欠けると、入居後すぐにクレームにつながってしまうこともあるのです。
音楽教室やダンススタジオ、コールセンターなど、声量や音量が大きくなりやすい業態では、遮音工事や防振対策をどこまで行うかが重要な検討ポイントになります。防音室を設ける場合は、構造やコストも含めて慎重に判断したいところです。
ネイルサロンやアロマサロンなど、香りを扱う業態の場合も、廊下や他テナントに匂いが流れないよう、空気清浄機や換気計画をしっかり検討しておく必要がありますね。匂いが強すぎると、「エレベーターを降りた瞬間から匂う」という状態になり、思わぬクレームの原因になります。
事務所仕様物件を店舗風に見せるレイアウトと導線づくり
7-1 受付と打ち合わせスペースで世界観をつくる
外観で大きな看板が出せない事務所仕様物件では、「ドアを開けた瞬間の第一印象」が特に重要になります。入口の数メートルで世界観をつくれるかどうかが、そのままブランド体験につながるからです。
廊下までは無機質なオフィスでも、ドアを開けた瞬間に世界観を変える工夫が必要です。
・照明:蛍光灯を消し、電球色のペンダントライトや間接照明を入れる。
・香り:アロマディフューザーを入り口に置き、匂いで印象を変える。
・サイン:壁に内照式のロゴサインを設置する。
これらの工夫だけで、工事費をかけずに「隠れ家サロン」の雰囲気を演出できます。
こうした演出は原状回復の範囲にも関わってくるため、どこまで造作するか、置き型の什器でどこまで表現するか、といったバランスも含めて計画していきたいですね。「造り込みすぎず、でも世界観は伝える」という落としどころを探ることがポイントです。
7-2 窓面とデジタルサイネージの活用
袖看板が出せないビルでも、窓ガラスを使ったウィンドウサインや、窓際に設置したデジタルサイネージで外部に情報を伝えることは可能です。「ビルの外から何をどう見せるか」を工夫するだけで、認知度は大きく変わります。
ガラスの内側から貼るカッティングシートやポスターであれば、屋外広告物の規制が緩やかになるケースも多く、足場や高所作業車が不要なためコストも抑えやすい方法です。ランニングコストも比較的かからないため、小規模な店舗でも取り入れやすい手法ですね。
一方で、窓越しのデジタルサイネージは自治体によって屋外広告物として扱われることもあり、輝度や点滅ルールなど細かな規制があるため、設置前に必ず確認が必要です。「せっかく導入したのに使えなかった」という事態を避けるためにも、事前のルール確認は欠かせません。
7-3 予約システムとWeb集客で物理看板の弱さを補う
通りがかりの集客に頼りづらい事務所仕様物件では、Webを起点に来店意欲を高める仕組みづくりが欠かせません。物理的な看板の弱さを、オンラインでどこまで補えるかが勝負どころになります。
Googleマップ上での口コミや写真を充実させるMEO対策や、Instagramなどでの世界観の発信、予約システムとスマートロックを組み合わせたスムーズな入館体験など、オンラインとオフラインをうまくつなぐ工夫がポイントになるのです。
TEMPOLYでは、人流データとエリア分析を踏まえて、物理的な立地や看板の条件だけでなく、「どの程度Webで補完すべきか」「どんな導線の設計が現実的か」といった点も含めて相談に乗りながら、物件選びをお手伝いしています。
契約前のチェックリスト|図面・電気容量・原状回復特約
8-1 図面と内見で必ず確認したい設備スペック
ここまでの内容を踏まえて、最後に「契約前に最低限チェックしておきたいポイント」を整理しておきます。まずは図面と現地の両方で、次のような設備スペックを確認しておきましょう。
・天井高と梁の位置はどうか(背の高い什器が問題なく置けるか)
・フロア形状はすっきりしているか(使いにくい柱やデッドスペースはないか)
・窓の開閉ができるか(自然な換気が必要な業態かどうか)
・トイレや給湯室は専有か共用か(清潔感や男女別などの条件は満たせるか)
これらは「後から変えにくい条件」です。内装で工夫できる部分と、構造上どうしても変えられない部分を分けて考えたうえで、自社の事業に本当にフィットするかどうかを判断することが大切ですね。
8-2 電気の容量や通信の環境、空調の能力
オフィスで快適に仕事をするには、電気の容量や通信の環境も重要です。ここが不足していると、「せっかく移転したのに業務が回らない」という事態になりかねません。
一般的な事務所であれば、一人あたり6アンペア前後を目安に必要容量を試算し、美容系サロンやサーバー室を持つ企業であれば、さらに余裕を見ておくのが安心です。大型の複合機やサーバーラックを置く場合は、専用の回路の有無も確認しておくべきです。
光回線がどこまで引き込めるか、既存の空調で十分な能力が出るか、古い機種であれば入れ替えや増設が可能かどうかも、事前に押さえておきたいポイントです。特にIT系企業やクリエイティブ業種では、通信の速度やオンライン会議の安定性が業務そのものに直結します。
8-3 契約書の用途と原状回復、工事区分
賃貸借契約書では、「用途」「原状の回復」「工事区分」の三点を特に注意してチェックします。ここを読み飛ばしてしまうと、後から思わぬコスト負担や営業制限につながりかねません。
用途欄が事務所となっている物件で来店型の営業を行う場合、事前にオーナーの承諾を得られるか、消防法の上では問題がないかを確認しておかないと、後から是正指導や退去要請につながるリスクがあります。「黙って始めてしまう」のは避けるべきです。
また、以下の工事区分によって、どの工事を誰が指定した業者で行うか、費用の負担はどうなるかが変わってきます。
・A工事(オーナー負担で建物の本体に関わる部分。躯体・基幹の設備など)
・B工事(テナントの要望でオーナー指定の業者が行いテナント負担)
・C工事(テナントが主体でテナント指定の業者が行う内装・配線の工事。丙工事とも呼ばれ、最も自由度が高い)
特にB工事は割高になりやすいので、どこまでC工事の範囲を広げられるか、初期の交渉段階で押さえておきたいポイントですね。
こうした契約の読み解きは、慣れていないと分かりづらい部分も多いのが実情です。TEMPOLYではドラフト段階から一緒に内容を確認し、オーナー側との調整も含めてサポートすることを大切にしています。
まとめ|事務所仕様物件を味方につけるために
事務所仕様物件を賢く活用するポイントは以下の3点です。
- 用途の確認:不特定多数の出入りがない「予約制」「バックヤード」ならチャンスあり。
- コスト比較:居抜きなら初期費用減、通常仕様ならランニングコスト減。期間で選ぶ。
- 設備チェック:床荷重・電気容量・排水設備の限界を契約前に必ず確認する。
「この物件、うちの業態で借りても大丈夫?」と迷ったら、契約前にぜひTEMPOLYへご相談ください。候補に上った物件の「インフラ条件」「人流データ」「原状の回復リスク」を第三者の目線でチェックし、業態や事業フェーズに合うかどうかを、数字ベースで一緒にシミュレーションいたします!
よくある質問
Q1 事務所仕様物件でサロン営業をしても大丈夫か
完全予約制で、不特定多数のウォークインを前提としない業態であれば、事務所利用の範囲内で認められるケースもあります。ただし、用途欄が事務所のままで店舗的な使い方をする場合は、オーナーの承諾や消防署の見解次第でグレーになることもあるため、必ず事前に確認することが大事です。
Q2 事務所仕様物件をECの倉庫として使うときの注意点は
床荷重や搬入の経路に問題がないか、エレベーターで重量物を運べるかといった点がまずはポイントとなります。また、段ボールなどの可燃物が増えるため、防災の計画や保険の内容も合わせて見直しておくと安心ですね。
Q3 テナント仲介会社に相談すると、しつこく営業されそうで不安
そう感じてお問い合わせをためらっているオーナーさんも多いと思います。TEMPOLYでは、長くお付き合いできるパートナーであることを大切にしているため、無理に契約を迫ることはしていません。人流データやエリア分析を踏まえて、この条件だと資金的にきつくなりそうだなと感じた場合は、むしろ「今は動かない方が良いですね」と率直にお伝えすることもあります。まずは情報収集の一環として、候補物件の図面やポータルサイトのURLを共有していただき、一緒に可能性を整理していくイメージで使っていただければうれしいですね。



