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なぜこの物件は「重飲食不可」?理由と交渉の可能性を徹底解説

はじめまして。テナント仲介サービスTEMPOLYの井関です。TEMPOLYでは普段、都内を中心に、 毎月400~500件の物件情報データ更新を行い、常時掲載している2000件以上の物件情報の中から様々なオーナーさんの条件に合う物件探しを支援しております。独自の人流データや商圏分析データに強みのあるTEMPOLYでは、家賃や坪数だけで判断せず、適正家賃か、エリアの人流はどうか、など商圏の動きもセットで見て、勝ち筋があるかを一緒に検討しています。

「この立地、最高なのに『重飲食不可』か……。どうにかして借りる方法はないかな?」

最近では都心の空き物件への問い合わせが増えている中で、好立地なのに「重飲食不可」の制約にぶつかる方が急増しています。

焼肉・ラーメン・中華・居酒屋など、いわゆる重飲食業態で出店を考える方の多くは、「不可って書いてあるんだから、どうせ無理でしょ」と感じる方も多いはずです。

ただ、結論から言えば「重飲食不可」と書かれているからといって、すべての物件を即座に諦める必要はありません。そこには、法令上どうにもならない絶対NGのケースと、オーナーや管理会社の経験則・不安から一律NGにしているだけのケースが混在しているからです。

この記事では、
・そもそも不動産業界でいう「重飲食」とは何か

・オーナーが重飲食を嫌がる本当の5つの理由

・「絶対NG」と「交渉の余地あり」を見極める3つのチェックポイント

・交渉前に確認すべき「物件側の条件」チェックリスト

・実際に重飲食不可物件で交渉する5ステップ
を、現場での支援経験を踏まえてお話しします。

その物件が「本当にあきらめるべき絶対NG物件」なのか、条件次第で交渉できる「まだチャンスがある物件」なのかを、あなた自身が見極められるようになることが大事です。
そのために知っておくべきこと、やるべきことを、これから掘り下げていきたいと思います!

 1. そもそも「重飲食不可」とは?

まずは、自店の業態が「重飲食」か「軽飲食」かを正しく把握することが、物件選び・交渉のスタート地点になります。

1-1. 「重飲食」「軽飲食」の違いをサクッとおさらい

ここでは、「重飲食/軽飲食」という言葉の意味を整理します。まず押さえておきたいのは、「重飲食」「軽飲食」という言葉は、法律用語ではなく業界の慣習だということです。条文を探しても定義は出てきません。現場ではざっくりと、次のようなイメージで使われています。

【重飲食チェックリスト(当てはまる項目が多いほど「重飲食」寄りです)】

 ・強火力での加熱(炒める・揚げる・焼く)が多い

 ・油を多く使うメニューが中心(唐揚げ・フライ・天ぷらなど)

 ・スープ炊きなどで大量の水蒸気と匂いが出る

 ・営業時間が長く、ピークタイムも長い

 ・客席数が多く、回転率も高い

 ・厨房機器の電気容量・ガス容量が大きい

上記のうち、4項目以上当てはまる場合は「重飲食寄り」、2〜3項目であれば「中間〜軽寄り」と考えてください。業界の判断基準では「煙・油・匂い・熱・排水」の負荷が大きければ重飲食、小さければ軽飲食と分類されるのが一般的です。

二つの業態の違いを、簡単な比較表にまとめると次のようになります。

項目

重飲食の特徴(負荷が大きい)

軽飲食の特徴(負荷が小さい)

調理内容

油煙・水蒸気・強火力の熱源を大量に使用(炒める・揚げる・焼くなど)

加熱する調理が限定的、またはアルコールやコーヒー、軽食が中心(温める・盛り付けるなど)

主要な設備

大容量の排気ダクト、グリストラップ、高圧ガス、大容量の電気設備が必須

簡易な換気設備、小型のシンクなどで対応可能な場合が多い

典型的な業態

焼肉、ラーメン、中華、鉄板焼き、大規模な居酒屋など

カフェ、バー、スナック、パン屋(製造なし)、テイクアウト専門店など

オーナー側の懸念

匂い・騒音・汚損・高額な原状の回復費用・火災リスクなど

クレームリスクは比較的低いが、深夜営業や騒音リスクはあり得る

同じ「居酒屋」でも、揚げ物と炭火焼きが中心であれば重飲食寄り、カウンター中心の創作料理とワインバーのような業態であれば軽飲食寄り、といった具合にグラデーションがあります。まずは、自分がやりたい業態がどちら側に寄っているのか、上の表を使って整理してみてください。

1-2. 募集図面に出てくる「飲食不可/重飲食不可/軽飲食のみ」の違い

ここでは、募集図面でよく見かける表記の違いと、その裏側にある本当の意味を整理します。同じ「NG」に見えても、交渉の余地があるかどうかの大きさはかなり違うからです。

募集図面には、だいたい次のいずれかの表記が出てきます。

 ・「飲食不可」…すべての飲食業態がNG

 ・「重飲食不可/軽飲食のみ」…負荷の小さい飲食ならOK

 ・「軽飲食相談可」…内容次第ではOKにする余地あり

この3パターンを、交渉余地の観点で整理すると次のようになります。

図面の表記

NGの範囲

想定される理由

交渉の余地に関する目安

飲食不可

すべての飲食業態がNG

構造・法規・建物コンセプトで飲食を想定していない

基本はほぼナシ(例外的な軽飲食のみ可能なケースがまれにある)

重飲食不可/軽飲食のみ

重飲食はNGだが、軽飲食ならOK

インフラや近隣の環境、過去トラブルへの懸念

業態チューニングと設備・運営ルールの提案次第でチャンスあり

軽飲食相談可

軽飲食であれば内容次第で検討

設備的には対応可能だが、リスクを慎重に見たい

積極的に提案したい交渉候補ゾーン

「飲食不可」とはっきり書かれている場合は、構造・法規・建物コンセプトのいずれかで、飲食そのものを想定していないケースが大半です。一方で「重飲食不可」の場合は、設備や構造の問題でどうしても難しいケースもあれば、過去のトラブル経験からオーナーが重飲食に腰が引けているだけのケース、さらには管理会社が問い合わせをさばききれないので予防線としてNGにしているケースもあります。

2. なぜこの物件は「重飲食不可」なのか?オーナーが懸念する5つのリスク要因

「重飲食不可」の背景には、①物理・法規の制約による絶対にNGの場合と、②オーナー・管理会社のリスク回避による方針としてのNGがあり、交渉できるのは主に②のゾーンです。オーナーや管理会社が重飲食を嫌がる理由は、大きく分けて次の2種類です。

・どうやっても変えられない物理的・法規的な問題
・リスクを避けたい“人間側の判断”の問題
この2つを切り分けておくと、オーナーとの交渉を有利に進める土台が作れます。

2-1. 建物の構造・インフラ上、どうやっても対応できない

このパターンは、「いくらお金を積んでも難しい=ほぼ絶対にNG」です。

たとえば、次のようなケースです。

・電気・ガス・排水の容量が根本的に足りない

・屋上までダクトを通す専用スペース(縦シャフト)が確保できない

・グリストラップを置くスペースも、つなぐべき排水の経路もない

こういった場合は、建物全体の設備の更新や大規模な躯体工事レベルになってしまうため、現実的ではありません。「多少の追加工事で何とかなる」レベルを超えており、諦めたほうが良いです。

目安として、電気容量やガス・排水について設備会社から「建物全体の配管・配線からやり直す必要がある」と言われるような場合は、重飲食出店は厳しいと考えてよいでしょう。

2-2. 匂い・煙・騒音など近隣トラブルのリスクが高いエリアのため

ここからは、人間側の判断が強く働く方針としてのNGに近いゾーンです。

次に多いのが、周囲との関係性の問題です。

・上階が住居、高級オフィス、クリニックなどクレームリスクが高い

・周辺が静かな住宅街で、匂いや騒音に敏感なエリア

・過去に匂い・騒音・ゴミ出しで揉めた前例がある

たとえば、以前入っていた焼肉店の排気が上階のベランダ方向に流れてしまい、「洗濯物が臭う」「窓が開けられない」といったクレームが頻発した結果、オーナーが「もう重飲食はこりごりだ」と感じてしまっているケースは少なくありません。

このタイプは、設備の対策と営業時間・メニュー・運営ルールなどのソフト面を組み合わせることで、ある程度リスクをコントロールできれば、交渉の余地が生まれるゾーンと言えます。

2-3. 原状の回復コストや建物の汚損リスクを嫌う(財務・維持管理リスク)

重飲食は、どうしても「油煙や結露で内装・配管・躯体が汚れやすい」「ダクトや外壁が油で黒ずみ、美観が損なわれる」「グリストラップの管理が甘いと、排水管が詰まりやすい」などのリスクがあります。

結果として、退去時の原状回復コストが高額になったり、共用部・建物全体のメンテナンス負担が増えたりします。場合によっては、数百万円単位におよぶ原状の回復トラブルに発展した例もあります。

「今の賃料では割に合わない」と感じるオーナーは、重飲食を避けたがります。このタイプの不安には、後述する「敷金・保証金の増額」や「原状回復の範囲を特約で明確化する」といった金銭的に安心する材料が有効です。

2-4. 建物や街並みのイメージ・ブランド維持のため

ブランド性の高いビルや景観を重視するエリアでは、「重飲食のにぎやかさ・匂い・見た目」がコンセプトと合わずNGになりやすくなります。

たとえば、タワーマンションの1階、ハイグレードオフィス中心の複合ビル、景観条例の厳しいエリアのデザインビルなどでは、「静かで落ち着いた」「スタイリッシュでクリーンな」イメージを保つことが建物コンセプトになっていることが多く、重飲食のにぎやかな雰囲気や匂いがミスマッチとみなされがちです。

このケースは、ブランドコンセプトと明らかに合わない業態(大衆焼肉店など)では難しい一方で、高級ダイニングやワインと料理を楽しむレストランなど、建物と世界観が合う業態であれば相談が可能な余地が生まれることもあります。

2-5. 管理会社・オーナーがトラブルを避けるために一律NGにしている(保守的な判断)

最後は、ある意味いちばん人間臭い理由です。

・過去の飲食テナントで痛い目を見た

・クレーム対応やメンテナンスがとにかく大変だった

・なので、もう重飲食には関わりたくない

このケースでは、「物理的にはできるが、精神的に受け入れたくない」というモードに入ってしまっていることが多く、交渉ではこの心のハードルをどう下げるかがポイントになります。実際には、設備の対策・運営ルール・敷金の増額などを組み合わせることで「この人たちなら大丈夫かもしれない」と思ってもらえれば、条件付きOKに変わる余地も決して小さくありません。

3. 「絶対NG」と「交渉の余地あり」を見極める3つのチェックポイント

交渉に入る前に、「設備・構造」「オーナー方針」「業態チューニング」の3点をチェックし、戦うべき物件か、引くべき物件かを冷静に見極める必要があります。

交渉に入る前に、「戦うべき物件か、引くべき物件か」を見極めるのが、プロとしての最初の仕事です。私がいつも見ているのは、次の3点です。

3-1. 設備・構造が物理的に無理なケースは「ほぼ絶対NG」

ここでチェックするのは、「用途地域・防災の規制・ダクト経路」が法令レベルでクリアできるかどうかです。

・ダクトを屋上まで通すルートがどうしても取れない

・防火・排煙の設備を法令どおりに設置できない

・用途地域として、そもそも飲食店が認められない

こういったケースは、敷金をいくら積んでも、誓約書をどれだけ書いても覆りません。仲介会社に用途地域図や建物の防災計画を確認し、設備会社からも「法令上難しい」と言われるようであれば、別の物件探しにリソースを振り向けたほうが賢明です。

3-2. 「オーナーの方針次第」のケースは交渉の余地が大きい

設備・法規上は対応可能だが、過去の経験や不安から一律NGにしているだけの物件は、提案内容次第で条件付きOKに変わる余地が大きいゾーンです。

たとえば、こんな物件はチャンスです。

・同ビル内や周辺に、すでに重飲食店の前例がある

・設備的には工夫すれば対応できそうだが、一律でNGにしている

・過去のトラブル経験から、弱気になっているだけの可能性が高い

この場合、オーナーの懸念(汚損・匂い・騒音・トラブル)を一つずつ潰す提案を出せれば、「条件付きOK」に持ち込める余地があります。敷金は通常より厚め(例:通常6ヶ月のところ9〜12ヶ月)に設定し、設備・運営ルールもセットで提示するのが一つの目安です。

3-3. 「飲食不可」でも、軽飲食や条件付きでOKになるグレーゾーン

最後に、「業態そのものをチューニングすることでグレーゾーンに入れるかどうか」を検討します。たとえば、次のような工夫が考えられます。

・仕込みをセントラルキッチンで行い、店舗では加熱と盛り付け中心にする

・炭火やフライヤーを使わず、スチコンやIHでメニューを組み立てる

・営業の時間やアルコールを提供する時間、メニュー内容に制限をかける

重飲食メニューのうち半分以上をセントラルキッチン側で完結させることができれば、店舗側の排気・排水負荷はかなり下げることができます。こうした業態のチューニングによって、オーナーがイメージする「重飲食」とは一線を画す形をつくれば、「飲食不可」「重飲食不可」から「軽飲食相談可」へと、条件を書き換えてもらえるケースもあります。

ここで、「絶対NG」と「交渉の余地あり」の違いを整理しておきましょう。

判断基準

絶対NG(交渉ほぼ不可能)

交渉余地あり(オーナー方針・リスク起因)

インフラ

ダクトの屋上までの立ち上げ経路が構造的に皆無。重飲食に必要な排水の容量やグリストラップ設置スペースがない。

電気・ガス容量は不足しているが、借主負担による増設工事で対応は可能。管理会社が保守的な一律NGを出しているだけ。

法規制・構造

用途地域や防災の規制により飲食店の営業そのものが制限されている。建物の防火・排煙の設備が法規をクリアできない。

周囲に住居はあるが、過去に重飲食テナントの実績がある。オーナーが汚損やトラブルリスクを過度に恐れている。

解決策

建物全体の用途変更や大規模な躯体工事が必要であり、現実的ではない。

敷金増額、高性能な脱臭機・消音機の導入、運営ルールを契約の特約に盛り込むことで懸念の解消が可能。

この表で「自分のケースはどちら寄りか?」を冷静に判断したうえで、交渉に進むかどうかを決めていきましょう。

4. 交渉前に確認すべき「物件側の条件」チェックリスト

感情論ではなく「数字と図面」で話をするために、交渉前にインフラ・建物ルール・過去トラブルの3点を、順番にチェックしておく必要があります。

ここでは、交渉に進む前に最低限は押さえておきたい「物件側の条件」を、3つのSTEPに分けて整理します。

4-1. STEP1:インフラの条件(電気容量・ガス容量・排水・グリストラップ・ダクト経路)

まずは、重飲食の土台となるインフラの条件を確認します。

具体的には、次の項目です。

・電気の引込容量/ブレーカー容量

・ガスのメーター容量/引込状況

・排水管の口径・勾配・ルート

・既存グリストラップの有無とサイズ

・ダクトを屋上まで立ち上げられる縦シャフトの有無

これらは、仲介会社からの口頭の説明だけではなく、あらためて図面と現地でしっかり確認し、できれば設備会社に簡易チェックを依頼しましょう。図面上は問題なさそうに見えても、現地で排水の経路と勾配を確認すると、想定よりも工事コストが大きく膨らむことがあります。

インフラチェックの具体的な手順については、別記事「【都内版】重飲食店舗開業の全ステップ|物件探しから契約、許可申請まで完全ガイド」で詳しく解説していますので、合わせてご覧いただくとイメージが掴みやすいはずです。

4-2. STEP2:建物ルール・管理規約・用途地域などの制限

次に、法令・ルール面でNGがないかを確認します。

チェックすべきポイントは、主に以下の通りです。

・管理規約や使用細則での「飲食禁止」「火気使用禁止」条項

・用途地域(住居専用か、商業地域か など)

・防火地域・準防火地域の指定 など

仲介会社には、「管理規約と使用細則の飲食・火気に関する条項を送ってください」と具体的に依頼するとスムーズです。用途地域については、自治体の都市計画図やホームページでも確認できます。

ここがNGであれば、交渉の優先順位は下げざるを得ません。

4-3. STEP3:過去テナントの業態とトラブル履歴

最後に、前テナントの業態とトラブル履歴を把握しておきます。これは、オーナーが一番嫌がっているポイントを知るための“答え合わせ”です。

管理会社に対しては、次のような質問を投げかけてみてください。

・前テナントは何の業態でしたか?

・匂い・騒音・ゴミ出し・排水で、どんなクレームがありましたか?

・オーナーが特に気にしているポイントはどこですか?

この情報は、あとで交渉プランを組み立てるうえで、「どこを重点的にケアすべきか」を決める材料になります。

5. 「重飲食不可」物件で実際に交渉する5つのステップ

交渉は「理由のヒアリング → 技術的対策の提示 → 金銭的保証 → 運営ルール → 事業の信頼性アピール」の5STEPで、オーナーの不安を一つずつ減らしていきます。

ここからは、実際に重飲食不可物件で交渉する際の具体的なプロセスを、STEP1〜5の順番で見ていきます。

5-1.まずは管理会社に「なぜ重飲食不可なのか」をヒアリングする

いきなり「重飲食でやらせてください!」とお願いしても、まず通りません。最初にやるべきことは、理由の切り分けです。

管理会社には、例えば次のような質問を投げかけます。

・重飲食不可とされている主な理由は何ですか?(設備・構造/近隣環境/過去トラブルなど)

・設備面での制約は、工事や機器の工夫でどこまで解決できそうですか?

・過去のトラブルが理由の場合、特にどのポイントをオーナーが気にされていますか?

・軽飲食であれば、どの程度までなら検討可能でしょうか?

ここを丁寧に聞き出しておくと、「設備の起因か、オーナーがリスクを懸念することが起因か」「設備の起因なら、工事でどこまで解決できるか」「リスクの懸念が起因なら、保証や運営ルールでどこまで安心してもらえるか」といった提案の打ち手が自ずと見えてきます。

5-2.設備・工事プランを用意して、懸念点を一つずつ潰していく

次に、技術的な対策を「図面と資料」で見せます。ここでは、A4 版1〜2枚程度のイメージ図と、設備会社の簡易な見解を添えた資料があると効果的です。

たとえば、次のような内容を盛り込みます。

・高性能フィルターや電気集塵機+脱臭装置の仕様

・ダクトの取り回しと排気口の位置(近隣住戸から離す工夫)

・消音機の設置による騒音の対策

・グリストラップの容量と清掃の計画

・産業廃棄物(汚泥)の適正な処理フロー

専門の業者による見解を添えて、「素人の思いつきではなく、きちんと成立する計画です」と示すことが大事です。

5-3.原状回復リスクには「敷金・保証金の増額」や保険で応える

建物の汚損や高額な原状回復の費用に対しては、金銭的な安心する材料を組み合わせて提示します。

具体的には、次のようなカードがあります。

・通常より厚めの敷金・保証金(例:通常6ヶ月→9〜12ヶ月)

・退去時におけるダクト内部の清掃や配管の更新を借主の負担とする特約

・設備・施設の破損に備えた保険の加入

「何かあってもこの範囲でカバーできます」と数値で示すことで、オーナーの不安を和らげることができます。

5-4.近隣トラブルの懸念には、営業時間・メニュー・運営ルールの約束を出す

近隣とのトラブルリスクには、営業時間・音量・メニュー・ゴミ出しといった運営面のルールを事前に決め、契約書の特約として明文化します。

たとえば、次のような条件を提示します。

・深夜◯時以降は営業しない/テラス席は◯時まで

・大音量のBGMやライブ演奏は行わない

・匂いの強いメニューは◯◯時まで/または扱わない

・ゴミ出しや油の廃棄は、指定業者・指定時間で行う

「ここまで自ら縛ります」という姿勢を示すことで、オーナーだけでなく管理会社や近隣住民に対しても安心材料になります。一方で、制限が厳しすぎると自店の売上に影響が出てしまうため、事業計画と照らし合わせながらバランスを取ることも重要です。

5-5.実績・事業計画をまとめて「堅実な長期テナント」をアピールする

最後の決め手になるのは、オーナーの「この人に貸しても大丈夫か」という直感です。だからこそ、資料には次の情報を盛り込みましょう。

・既存店の売上推移、クレームの有無(既存店がある場合)

・代表者の経歴、これまでの店舗運営スタイル

・今回の事業計画(売上予測・利益計画・資金計画)

初めての開業の場合であれば、自己資金の厚み、飲食業界での勤務実績、開業準備のプロセスなど、「計画性を持って堅実に準備していること」が伝わる情報を整理しておくと良いでしょう。これらを1冊にまとめ、「短期で勝負する店」ではなく「長く続ける堅実な店」であることを、数字とストーリーで伝えるのが良いでしょう。

よくある質問

Q1. 「重飲食不可」と言われた物件でもラーメン屋はできますか?

A1. 設備負荷の面では、ラーメンは重飲食の中でもかなりヘビー級です。スープ炊きで大量の水蒸気と匂いが出て、排水も濁りやすいからです。ただし、スープを別拠点で仕込み、店舗では麺茹でと仕上げだけに絞るなど、オペレーションを工夫すれば、交渉余地はゼロではありません。

Q2. 「前の焼肉店でトラブルが多かったから、もうこりごり」と言われました。どうすればいいですか?

A2. 設備ではなく、「前の焼肉店でトラブルが多かったから、もうこりごり」という心理が働いている可能性が高いです。その場合は、設備の対策に加え、グリストラップの清掃や産廃の処理、ゴミ出しルールなどの運営の約束をセットで提示することが重要です。第2章(2-2〜2-5)と、第5章STEP2〜4が参考になります。

Q3. 交渉するときはオーナーと直接話すべき?管理会社を経由するべき?

A3. 基本は管理会社を経由させることがベターです。管理会社はオーナーのフィルターであり、彼らが「このテナントなら安心」と感じてくれないと話が進みません。まずは管理会社にきちんとした資料を出し、「オーナーに推薦したくなるプラン」に仕上げるイメージで臨みましょう。第5章STEP1が具体的なヒアリングのポイントになっています。

Q4. 敷金を増やせば、重飲食OKになることはありますか?

A4. あります。構造・法規の問題ではなく、「汚損や原状の回復が怖い」というタイプのNGであれば、敷金の増額は非常に有効なカードです。ただし、絶対NGゾーン(ダクトが通らない、用途地域的にNGなど)は、いくら敷金を積んでも変わりません。第3章と第5章STEP3を参照してください。

Q5. 重飲食不可のまま契約して、あとから重飲食に変えたらバレますか?

A5. バレる・バレないの問題ではなく、完全な契約違反です。発覚した時点で是正の要求や契約の解除、損害賠償の請求のリスクがありますし、火災時に保険が下りないといった致命的な事態も起こり得ます。必ず、事前にオーナーと合意し、契約書の使用目的も変更した上で、業態をスタートさせてください。 

 まとめ|「重飲食不可」を見たら、諦める前に「切り分け」と「提案準備」

「重飲食」「軽飲食」は法律用語ではなく業界慣習です。つまり「重飲食不可=即アウト」ではなく、絶対NGの場合と、「交渉余地あり」の場合が混在しているため、まずは冷静に見極めることが重要です。そのうえで、交渉できる物件に対しては、感情論ではなく図面・数字・運営ルールでオーナーの不安を一つずつ潰す、という交渉になります。

「煙・油・匂い・熱・排水」の負荷がオーナー側の懸念になることが多いので、軽飲食寄り(小規模な立ち飲み屋や、バーなど)であれば、正しく業態を整理して、軽飲食として説明できれば交渉の可能性があります。

TEMPOLYでは、直接管理会社・オーナーへのヒアリングをしたり、可能であれば交渉もさせていただきます。また、もし、そのテナントが希望に叶わなかったとして、TEMPOLYが掲載する2,000店舗以上の物件からあなたの条件にピッタリのテナントをご紹介いたしますので、ぜひ、無料でご相談をご利用ください。

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