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【都内版】風営関連店舗の開業マニュアル|物件探しから契約、許可申請まで徹底解説

はじめまして。テナント仲介サービスTEMPOLYの井関です。

TEMPOLYでは普段、都内を中心に、 毎月400~500件の物件情報データ更新を行い、常時掲載している2000件以上の物件情報の中から様々なオーナーさんの条件に合う物件探しを支援しております。

独自の人流データや商圏分析データに強みのあるTEMPOLYでは、家賃や坪数だけで判断せず、適正家賃か、エリアの人流はどうか、など商圏の動きもセットで見て、勝ち筋があるかを一緒に検討しています。

今回は、東京都内で風俗営業や深夜酒類提供飲食店を開業したい方に向けて、アドバイスします。

「風営法は難しすぎて、物件探しのどこから手をつければいいかわからない」

高い収益性が期待できる一方で、風営法関連の店舗開業は、他の飲食業と比べものにならないほど、法令遵守と行政対応のハードルが高い世界です。

とくに怖いのは、「知らないまま進めてしまうこと」です。

・営業できないエリアで物件を契約してしまう

・照度や防音など構造の要件を満たさないまま内装の工事を進めてしまう

・申請スケジュールを読み違え、オープンが何ヶ月も遅れる

こうしたミスは、そのまま「不許可」や「営業停止」のリスクにつながります。

この記事では、「物件探しと契約」「各種許可申請と行政手続き」「各タイミングでどの専門家に頼るべきか」という3つのポイントの全体像を、整理してお伝えします。

これから物件を探す段階の方も、すでに物件候補がある方も、「どこから手をつければいいのか分からない」という不安を、この記事で一つずつ解消していきましょう!

 

失敗しない「風営法物件」の探し方と契約前チェック

風営法関連の開業では、「物件選びで9割が決まる」と言っても過言ではありません。契約後に「営業できない」となれば、多額の賃料と内装費を失うことになります。

 契約前に必ずチェックすべきは、以下の3つのポイントです。

・業態区分/あなたの店がどの区分に当たるかを特定する

・立地規制/「絶対NGエリア」ではないか100m調査で確認する

・構造要件/照度や防音・面積の基準を満たせるか見通しを立てる

 これらのチェック手順を詳しく解説します。

1-1 なぜ業態の「区分整理」が物件選びの出発点なのか

風営法に関連する店舗は、サービス内容や営業の形態によって、適用される区分が変わります。区分が変われば、求められる立地の基準や構造の基準、手続きの重さも変わります。代表的な3つを押さえておきましょう。

  • 風俗営業(許可制)

次の2点の業態が中心となります。

・1号営業(社交飲食)

キャバクラ、ホスト、スナックなど。「接待(横に座って会話等)」がある店。

・2号営業(低照度)

接待はないが、店内が真っ暗(10ルクス以下)なバーなど。コンセプトとして「薄暗いバー」を作ろうとすると、意図せず2号営業扱いになることもあります。

  • 特定遊興飲食店営業(許可制)

2016年の改正で新設された区分で、深夜の時間帯(午前0時以降)に、「遊興」(ダンス、ショー、生演奏など)を提供しながら酒類を出す営業の形態です。ナイトクラブやダーツバー等が該当します。

  • 深夜酒類提供飲食店営業(届出制)

いわゆる「深夜営業のバー・居酒屋」です。接待も遊興もせず、朝までお酒を出す店が該当します。許可ではなく届出ですが、「手続きが軽い=規制がゆるい」という意味ではありません。

特に注意が必要なのは、「ガールズバー」や「コンセプトカフェ」で、「風俗営業(許可制)」となります。

まず、あなたのお店が「風俗営業 / 特定遊興 / 深夜酒類提供 のどの区分に当たるか」を、行政書士と相談して確定し、その区分を前提に物件検索を始めましょう。

1-2 立地規制は1mでもアウト。「100m調査」でNGエリアを避ける

東京都は、国の風営法に加えて、独自の厳しい条例を定めています。ここを知らないと、「契約したのにそもそも営業できない」という最悪の事態になりかねません。

風俗営業(①②)の場合、「保全対象施設(学校・病院・図書館など)」から一定距離(商業地域なら概ね50m〜)離れていないと営業できません。これが非常にシビアで、地図上の直線距離で「あと1メートル足りない」だけでも不許可になります。

用途地域:住居専用地域では原則NG。商業地域を探すのが基本。

保護対象施設:近くに大学や病院がないか。

認可外保育園は保護対象施設ではないが、認可保育園は該当する。

これをGoogleマップだけで判断するのは危険すぎます。必ず契約前に、行政書士による「100m調査(風営調査)」を入れてください。調査費用の相場は3万円〜10万円程度です。

1-3 「不許可」を防ぐ構造・設備の3大要件チェックリスト

立地がクリアできても、構造や設備が基準を満たさなければ、許可は下りません。重要なのは、「契約前の段階で、内装の方向性まで含めて概ね見通しを立てておくこと」です。

■照度の考え方(営業区分を左右する最重要要件)

照度は、店舗の雰囲気を決めるだけでなく、営業の区分そのものを左右します。

・10ルクス以下/接待がなくても2号営業(風俗営業)扱いになる

・10ルクス超/一般的な特定遊興/深夜酒類提供飲食店が該当(20〜50ルクス超が求められることも)

 「薄暗くてムーディーな空間」を目指すと、意図せず2号営業となり、立地の規制が一段厳しくなります。コンセプトと法規制は契約前にセットで検討しましょう。

 ■防音・遮音の構造

深夜まで音響設備を使う店舗では、防音・遮音も大きなテーマです。

とくに住居が集合する地域では、深夜における騒音の規制値が45デシベル前後など、非常に厳しく設定されているケースもあります。一般的な内装の工事だけでは届かず、本格的な防音の設計・工事が必要になることも珍しくありません。

■客室の面積・区画

店舗の種類によっては、客室における最低の面積が定められているほか、営業所の面積・客室の面積を厳密に計算した「求積図」の提出が必要です。

「部屋の区画の仕方」や「カウンターの取り方」ひとつで、営業所における面積の計算が変わり、許可の可否に影響することもあります。

これらを踏まえると、ベストな流れは次の順番です。

  1. 物件の候補が出た段階で行政書士に相談
  2. 用途地域・距離の制限・大まかな構造の要件をチェック
  3. 問題なければ契約に進みつつ、設計士・内装業者と一緒に基準を満たす図面を固めていく

「サインしてから考える」のではなく、「サインする前に合否の目星をつける」こと。それが失敗しないための鉄則です。

 

審査期間は「55日」。警察・保健所・消防の許可申請の流れ

物件の適合性に目処がついたら、次は「申請・届出フェーズ」です。

風俗営業許可の標準審査期間は約55日。

この間、お店は営業できませんが、家賃は発生し続けます。申請が1週間遅れるだけで、数万円〜十数万円の空家賃が無駄になる計算です。これを防ぐためのスケジュール感を掴んでおきましょう。

2-1 警察署の実査(風俗環境浄化協会)が来るまでの流れ

  1. 物件契約&行政書士への依頼

→ 用途地域・距離の制限に関する最終的な確認、図面の作成に関する打ち合わせ

  1. 事前の相談

→ 行政書士が図面を持って警察署へ。「このレイアウトで大丈夫か」を確認。

  1. 内装工事&申請書類一式の作成・提出

→ 工事完了後に本申請受理。ここから「55日」カウントダウン開始。

  1. 実査(立ち入り検査)

→ 警察と風俗環境浄化協会の人が来て、定規で寸法を測ります。

  1. 許可がおり次第、営業の開始

ポイントは「2. 事前の相談」です。これを飛ばして工事してしまうと、実査の時に「この壁、10センチ高いから切ってください」と言われ、工事やり直し&オープン延期という地獄を見ることになります。

2-2 許可に必須の「風営法図面」とオーナーがすべき3つの準備

風営法における関連の申請でもっとも専門性が高いのが「図面」です。

平面図・配置図・求積図など、行政が求める形式・記載の方法を理解していないと、協議の段階で必ず手戻りが発生します。

■主な図面

・平面図/配置図/営業所の範囲、客席、カウンター、設備の位置などを明確に記載。

・求積図/営業所面積・客室面積などを正確に算出するための図面。風営法における特有のルールにしたがって計測します。

「ふだん店舗の設計をしている設計士さんなら誰でも書ける」というものではなく、風営法の実務に慣れた行政書士や、風営の図面に強い設計士に依頼するのが安全です。

そうすれば、オーナーがやることは3つです。

①行政書士へ図面作成に必要な情報を渡す

②管理者候補の欠格事由チェックを先に済ませる

③保健所と消防の事前相談日程を押さえる。

2-3 過去に処分歴はないか?一発アウトになる「人的欠格事由」

風俗営業の許可では、「人」の側の要件も厳しくチェックされます。

申請者(個人・法人)と管理者が、風営法の上において欠格事由に該当していないことが絶対条件です。

・過去5年以内に風俗営業の許可を取り消された

・過去5年以内に禁錮以上の刑(または特定の法律違反)に処せられた

・集団的に不法行為を行うおそれがある(暴力団関係など)

法人で申請する場合は、代表取締役だけでなく、監査役を含む「全役員」が審査の対象に。

特に注意が必要なのは、「名義貸し」の禁止です。実質的な経営者が別にいて、スタッフを形だけの代表にすることは法律で固く禁じられています。

また、店舗ごとに「管理者」を選任し、届け出る義務があります。

・管理者は営業の時間中、原則として常駐が必要(掛け持ち不可)

・管理者も、申請者と同様に欠格事由をクリアしている必要あり

現場における法令の遵守を任せるキーパーソンですので、「現場の感覚があり、法律にもある程度理解のある人材」を選ぶのが理想です。

2-4 【同時並行】保健所・消防との手続きで図面をどう使い回すか

警察署への許可の申請と並行して、保健所・消防署との手続きも進める必要があります。

■飲食店営業許可(保健所)

食品衛生法に基づき、営業所の所在地を管轄する保健所へ「飲食店営業許可」を申請する。

・厨房レイアウト

・シンクの数

・換気・冷蔵の設備 など

衛生基準への適合がチェックされます。

■消防法に関する届出と検査(消防署)

内装の工事に着手する前に、工事の計画を消防署へ届け出ます。

工事の完了後には、以下の3点が図面通りに設置されているか、消防の検査を受けます。

・誘導灯

・消火器

・火災報知の設備 等

 さらに、一定規模を超える店舗では「防火管理者」の選任と届出が必要です。

こちらも講習の受講などに時間がかかるため、早めのスケジューリングが重要になります。

 保健所(衛生)と消防(防火)の手続きも、警察(風営)とリンクしています。例えば、「警察に出した図面と、消防に出した図面で、椅子の位置が違う」といった些細なズレでも、虚偽記載と疑われるリスクがあります。だからこそ、全ての窓口を行政書士に一本化し、整合性の取れた図面を各所に提出してもらうのが、最も安全で確実なルートなのです。

 

各タイミングでどの専門家に頼るべきか

ここまで見てきたとおり、東京都での風営関連開業は、「物件構造」から「行政手続き」まですべてが密接に絡み合っています。この複雑さを、ひとりで抱え込む必要はありません。

むしろ、「どのタイミングで」「どの専門家に」「どこまで任せるか」を設計できるかどうかが重要です。

3-1 開業フェーズ別/行政書士と各専門家の関わり方一覧

風営法に強い行政書士は、プロジェクト全体の「司令塔」のような役割を担います。

そこに、不動産会社・設計士/建築士・内装業者・消防設備業者・税理士などが加わり、チームで開業を進めていきましょう。

【物件決定前】

・行政書士/用途地域・距離の制限に関する確認、100メートル調査

・不動産会社/候補に上った物件の紹介、オーナー条件の交渉

【設計・内装期】

・行政書士/構造に関する要件のチェック、警察署との構造の協議

・設計士/建築士/風営の基準を踏まえた図面の設計

・内装業者/防音・照度・動線を考慮した工事の計画

【申請・検査期】

・行政書士/警察・保健所・消防の書類作成・申請代行、検査立会い

・消防設備業者/消防の備の設計・施工

・保健所に対応に関して経験豊富な内装の業者/厨房レイアウトや衛生の設備の構築

それぞれがバラバラに動くのではなく、行政書士を窓口にして情報を一本化することで、「設計と法令」「オーナーの意向と行政の要求」のすり合わせがスムーズになります。

3-2 行政書士の「報酬相場」と失敗しない選び方の3ポイント

風営法に関する申請を代行してもらった場合の報酬は、一般的な許認可と比べると高めに感じられるかもしれません。

しかしその内訳には、3-1で挙げたように、以下の4点など、かなり高度で手間のかかる業務が含まれています。

・現地の調査(用途地域・距離の制限・構造の確認)

・風営法における特有な図面の作成やチェック

・警察署との構造の協議や補正の対応

・保健所・消防も含めたスケジュール管理

東京都内で行政書士に依頼する場合の相場感は、以下の通りです(実費・法定費用は別)。

・【許可制】風俗営業許可の申請/25万〜35万円程度

・【届出制】深夜酒類提供飲食店営業届出/10万〜15万円程度

この報酬は、現地の調査や警察との事前協議など、専門性の高い業務を含む「オープンを確実にするための保険」です。

事務所選びのポイントとしては、以下の3点といった「実務の経験」を重視しましょう。

・東京の管轄警察署での構造に関する協議の経験が豊富か

・100メートル調査や用途地域に関する調査の実績があるか

・風営法に特化した図面の作成スキルを持っているか

 行政書士に支払う報酬は、「早く・確実にオープンするための保険」であり、

物件の違約金や家賃の無駄払いを防ぐための投資、と捉えるのが現実的です。

また、「許可が取れたらそこで終わり」ではなく、「開業後も気軽に相談できる法務パートナー」として、長期的に付き合える専門家を選ぶことが、事業を安定させるうえでの重要なポイントです。

 

まとめ/東京都で風営法関連開業を成功させるための3つの戦略

東京都で風営法関連店舗の開業を成功させるには、以下の3つの戦略を物件契約の前に押さえておくことが重要です。

・戦略1/物件リスクのゼロ化(用途地域・距離の制限・構造の要件を事前チェック)

・戦略2/警察の「55日ルール」を前提としたスケジュール設計(警察・保健所・消防を同時並行で対応)

・戦略3/行政書士を中心とした専門家チームとの継続的な連携(相談できる法務パートナーの確保)

 

法規制などのややこしいところは士業のプロに任せ、本来オーナー様が注力すべき「コンセプトづくり」「サービスづくり」に安心して取り組んでいただけるよう、TEMPOLYではご契約いただいた店舗オーナーの皆さまに、行政書士への初回相談の段取りまでをサポートしております!

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