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渋谷エリアのテナント出店動向(1)

渋谷エリアのテナント出店動向(1)

前回の六本木エリアに続き、渋谷エリアの店舗ビルについて過去1年間(2015年第二四半期~2016年第二四半期時点)の入居テナントの移動状況を整理してみました。

 今回は、渋谷エリアの主要な7ストリートに面する店舗ビルで、この1年間に新たな店舗が出店した数の比率を「テナント出店率」(1年間に出店したテナント数 / 1年前の全テナント数)として集計しました。その結果は以下の通りとなりました(109、マルイ、パルコ等の一体運営の大型施設を除く)。

貸店舗ビル主要業種テナントの年間出店状況(ストリート別)

大橋 店舗レポート 貸店舗 店舗物件②

 

 この7ストリートの主要業種として、テナント数が多い物販店舗(全般)、飲食店舗(食事中心・ファストフード・カフェ系)、飲食店舗(酒類中心;居酒屋・バー系)、サービス店舗(全般)、事務所の5つに着目すると、これらのテナント数の合計は1年前の時点で概ね1,900件前後でしたが、これに対してこの1年間に新たに出店した店舗は約240件あり、1年間で少なくとも1割強のテナントが入れ替わって新たな貸店舗に出店していると言えます。(これは前回の六本木もだいたい同じ水準でした。)

 

その内訳をまずストリート別に見ると、上記の表①で黄色のセルが各ストリートでテナント数の多い業種であり、道玄坂や宮益坂はサービスと事務所が多く、井の頭通りやセンター街は物販店舗(全般)と飲食店舗(食事中心・ファストフード・カフェ系)が比較的多いことがわかります。

 

 これに対して、表②の過去1年間の「テナント出店率」を見ると(青色のセルが出店率の高い業種)、道玄坂のサービスやセンター街の飲食(食事中心・ファストフード・カフェ系)など、表①の黄色と一致している、すなわち主力の業種で出店率が高い(店舗の動きが多い)ケースがある一方で、井の頭通り・センター街・文化村通りの物販についてはいずれも集積度が高く、主力業種と言えるのにテナント出店率は5%未満でかなり低い水準となっています。

(センター街は、主力2業種のうち一つはテナントの動きが多く、もう一つは少ないという対照的な状況になっています。)

 

 続いて、これをビルの階層別に見てみます。1年前の主力業種別のテナント数で、地下・路面(1階)・2階の低層階は物販店舗と飲食店舗(食事中心・ファストフード・カフェ系)が多く、3階~9階の中高層ではサービス店舗や事務所が多くなっています。

 

貸店舗ビル主要業種テナントの年間出店状況(ビル階層別)

渋谷業種別 テナント 店舗物件 貸店舗

 これを見ると、中高層階で主力のサービス店舗や事務所は概ねテナント出店率も高くなっている一方、低層階の主力である物販店舗と飲食店舗(食事中心・ファストフード・カフェ系)は対照的にテナント出店率が低い状況にあります。

 そして特徴的なのが飲食店舗(酒類中心)で、いずれの階層でも比較的高い出店率を示しています。飲食店舗(酒類中心)は、前述のストリート別でも概ね高い貸店舗への出店率を示しています。

 

 飲食店舗(酒類中心)の出店率が高い要因として、全テナント数(母数)が他の業種(300~600超)よりもかなり少ない(150程度)ため、1店の新規出店の影響が高めに出るという集計上の問題も考えられます。しかし、分母の大きさと出店率の大きさが必ずしも比例しているわけではなく、飲食(酒類中心)の出店率が他の業種よりも高くなっている(動きが多くなっている)のは、この業種特有の要因が反映されている面も多分にあると思われます。

 

 ここまでの話を整理すると、渋谷エリアの1年間の出店動向について

 ・物販店舗は出店率が低い(既存店舗の存続率が高い)

 ・飲食店舗(酒類中心)やサービス店舗は出店率が高い(1年間に新たに出店した店舗が多い)

 ・テナント数が多い主力業種でも、出店率が高いか低いかは状況が分かれる

 という特徴が浮き彫りになりました。

 

 次回、この3つの点についてさらに詳しく見ていきます

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